国内

「放射能で世界は終わり」という記事 作ろうと思えば簡単だ

 福島第一原発事故から1年近く経つが、この間、メディアでは反原発派の発言が声高に踊ったり、多くの人々が不安を抱いた。

 だが、「放射能で世界は終わり」という記事を作ろうと思えば簡単である。世界中の「原子力は人類の敵」と執念を燃やす学者からコメントを集めればいいだけだ。その主張がどれほど異様であっても、こと放射能に関しては世間の多くの人々は妄信してしまう。

 煽り報道に登場する学者たちの経歴を精査すれば、ほとんどが放射線医学は専門外である。1970年代ぐらいで知識が止まっている人も多い。「○○研究所」のような肩書きがあっても、実態は反原発活動団体だったりもする。

 たとえば、〈フクシマから200キロ圏内「がん患者は40万人増える」〉(フライデー5月6日号)で、欧州放射線リスク委員会(ECRR)のクリス・バズビー博士は「福島原発200キロ圏内では50年後に放射線被曝で約40万人ががんになる」と予測した。ただし、ECRRというのは「緑の党」傘下の反核団体である。しかもバズビー氏は、放射能リスク軽減サプリと称し、1パック5800円と高額なカルシウム・マグネシウム混合サプリを販売。内容から見て、市販品なら1000円で同等のものが買える程度のシロモノだ。そのことをすっぱ抜かれると、それ以降、全くメディアに姿を見せなくなった。

 煽りメディアや似非学者たちは「福島のために」「子供たちのために」などと正義漢ぶるが、結果として、福島の人々に過剰なストレスを与え、「人権侵害」「差別」「風評被害」を助長しているだけである。

 現実に2011年4月には、宿泊施設で、福島から来た客に対して宿泊拒否が起きていたことを厚労省が発表した。また、中部地方のある公営住宅でも、福島県から避難してきた母子が被災者の受け入れ窓口で「一晩だけでも泊めてください」と土下座して頼んでいるのに追い返すことがあった。住民から「放射能に汚れた人を入れないで」という声があったからである。

 ネット上では福島出身の人間は健康な子供が産めないというデマが飛び交い、結婚差別も起きている。被災地の瓦礫処理に各地の住民が反対しているため、1年も経ったのに、処理された瓦礫は5%しかない。これでカネだけ撒いて「さぁ、復興せよ」というなら偽善も甚だしい。

 煽りメディアや似非科学者たちは、自分たちの「商売」や「活動」のためなら、根拠のないウソで多くの人々が差別を受け、復興が停滞しても何も感じないのだろう。

※週刊ポスト2012年3月9日号

関連記事

トピックス

すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
電話番号が「非表示」や海外からであれば警戒するが(写真提供/イメージマート)
着信表示に実在の警察署番号が出る特殊詐欺が急増 今後危惧されるAIを活用した巧妙な「なりすまし」の出現
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
堀田陸容疑者(写真提供/うさぎ写真家uta)
《ウサギの島・虐殺公判》口に約7cmのハサミを挿入、「ポキ」と骨が折れる音も…25歳・虐待男のスマホに残っていた「残忍すぎる動画の中身」
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
MajiでFukkiする5秒前(時事通信フォト)
2年ぶり地上波登場の広末涼子、女優復帰は「過激ドラマ」か 制作サイドも“いまの彼女ならなら受けるのでは”と期待、“演じることにかつてなく貪欲になっている”の声も
週刊ポスト
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
YouTubeでも人気を集めるトレバー・バウアー
【インタビュー】横浜DeNAベイスターズ、トレバー・バウアー「100マイルを投げて沢村賞を獲る」「YouTubeは第2の人生に向けての土台作り」
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン
公開された中国「無印良品」の広告では金城武の近影が(Weiboより)
《金城武が4年ぶりに近影公開》白Tに青シャツ姿の佇まいに「まったく老けていない…」と中華圏のメディアで反響
NEWSポストセブン
女子ゴルフ界をざわつかせる不倫問題(写真:イメージマート)
“トリプルボギー不倫”で揺れる女子ゴルフ界で新たな不倫騒動 若手女子プロがプロアマで知り合った男性と不倫、損害賠償を支払わずトラブルに 「主催者推薦」でのツアー出場を問題視する声も
週刊ポスト
すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン