国内

東電30代技術者「元東電社員となれば雇ってくれる場所ない」

 日本屈指の巨大企業・東京電力。社員たちは、あの日を境に、「電気の供給」という仕事に加え、「原発事故の処理」「巨額の賠償」という大きな責任を背負った。東電社員はこの1年、何を見て、何をして、何を感じてきたのか。そもそもあの悲劇は、なぜ起きたと考えているのか、東京支店の技術部門で働く30代社員に話を聞いた。
 
 * * *
 事故後、何度も会社を辞めようと思いました。妻は僕の代わりにハローワークにも行ってくれた。でも、この年で、元東電社員となれば、雇ってくれるところはありません。子供が小さいので、「私立は無理かな」とか「習い事はやめさせなきゃ」とか、将来のことを考えると、暗くなります。今は、「働くことで、少しでも被災地の復興に繋がればいい」と思い込むことで、毎日を過ごしています。
 
 事故の原因? 国と我々電力会社の想定の甘さに尽きると思います。「組織が官僚的だ」「補償が足りない、遅い」という批判は甘んじて受けます。うちの会社は、「部署が変われば別の会社」と言ってもいいくらい、社内の風通しが悪い。

 本店勤務の総務や企画といったエリート社員の中には、我々技術部門のことを“電気屋さん”と呼んで馬鹿にしていた人もいた。あなたも電気屋さんでしょ、と言い返してやりたかった。

 実は、どう業務を推進したら効率的か、という話し合いをする「全店業務マネジメント推進会議」が、震災の10日前の3月1日に、本店で開かれていました。参加した社員によれば、「社外からの視点が大切だ」と話し合われたそうです。10日後の事故でわかったのは「やっぱり東京電力は内向きの会社だった」ということだから、皮肉ですね。

※SAPIO2012年3月14日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン