原発事故を受け、自然エネルギーへの転換が叫ばれている。風力発電や太陽光発電などが、代替エネルギーとしてしばしば挙げられるが、現時点で最も有望な再生可能エネルギーは「地熱発電」である。
地熱発電とは、火山活動による地熱で蒸気を発生させて発電する方法だ。現在、日本には18か所の地熱発電所があり、合計で53.5万kWの発電容量がある。揺らぎのない電力であり、火山国である日本には適した方法といえる。同じく火山国のニュージーランドやアイスランドでは主力の発電方法である。
これまでは地熱の源泉を掘り当てることが困難とされてきたが、技術の向上で縦横に掘削することができるようになり、源泉の発見率は高まっている。
課題は源泉の多くが国立公園や温泉地に存在するため、景観保護の観点から開発が困難だという点だ。逆にいえば、政治的な決断でいつでも開発できる。ポテンシャルは調査しなければわからないが、ほぼ無限大だという専門家もいるくらいで、期待度は高い。
次に有力候補とされるのは「中小水力発電」だ。大規模ダムではなく、河川や農業用水を利用して細かくエネルギーを拾い集めて発電する。
「動けといえば動かせ、止まれといえば止めることができる安定電源です。候補地が非常に多いために、発電量も無限のポテンシャルを秘めている」(安井至・東京大学名誉教授)
こちらもネックは水利権や漁業権などの既得権だから、法整備で対応が可能だ。
※週刊ポスト2012年3月9日号