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637万円の国家公務員平均年収 手当入れれば809万円の試算

 国家公務員の給与を一気に7.8%下げる法案が衆参両院でスピード可決され、成立したが、役人の給料はそもそも高すぎる。人事院は昨年の勧告で「同じ役職、勤務地、学歴、年齢では公務員給与は民間より0.23%高い」として、その分の引き下げを勧告したが、役人が最後まで徹底的に抵抗したこの「微々たる官民格差」そのものが大嘘である。

 元経済企画庁国民生活調査課長の原田泰・大和総研専務理事のレポート(2010年10月)によれば、同年齢の官民給与格差は「官が民を20%も上回る」という。

 しかも、それは手当などを考慮しない差である。人事院は、2011年の国家公務員の平均年収を637万円、民間サラリーマンの平均給与を412万円としているが、この「637万円」には残業手当をはじめ特別手当のようなズルイ手当が一切含まれていない。

 それらを入れた本誌試算では、国家公務員の平均年収は809万円で、民間の約2倍である。

 さらに、豪華格安官舎などの「目に見えない闇給与」が加わる。東京ウォーターフロントに建つ高層マンション「東雲住宅」の家賃は3LDKで4万3610円。同規模の民間マンションは約25万円だから、月額20万円あまり、年間250万円ほどが闇給与になる。

 闇給与が罪深いのは、「闇」だからである。民間なら、みなし給与として課税されるはずだが、税金で食う役人だけは免税である。あるいは、実質的に年収1000万円を超えていても、額面で年収800万円なら、民間では「高額所得者だ」としてカットされる子ども手当も満額もらえることになる。国民からは絞り、自分たちは役得を享受してほくそ笑む役人気質が最も陰険に出るのが、こういう「闇給与」である。

 この役得にも民主党政権は一切踏み込まない。国民の官舎批判が強まっても、幹部用や超豪華な東雲住宅のような「聖域」は議論さえ避けている。岡田克也・副総理は特殊法人など「外堀」の官舎削減を宣伝するだけ。さすが元官僚の「腰抜け特攻隊長」である。

 野田佳彦・首相や安住財務相は、大増税を正当化するために、最近よく「このままでは日本はギリシャになる」と脅す。そのギリシャは公務員給与を4割カットした。まずそれをやってみせよ。それでも足りなければ、われら国民も増税議論を始めてもよい。

※週刊ポスト2012年3月16日号

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