2月29日、女性宮家制度の創設に向けた政府の「皇室制度に関する有識者ヒアリング」がスタートした。これは、野田佳彦首相の「両陛下の公務負担を減らす意味でも、女性宮家の議論は必要」との考えのもと開かれたもので、初回は日本中世史が専門の帝京大学特任教授・今谷明氏と、ジャーナリスト・田原総一朗氏が招かれた。今谷氏が会の様子をこう振り返る。
「ヒアリングは約30分で、先に私が講義した後に質疑応答を受けました。今回は女性宮家のみの話で、女系・女性天皇の話は一切しませんでした」
ヒアリングで今谷氏は「女性宮家は幕末以前にも例があり、決して不自然ではない。国事行為を除けば、天皇陛下の公務を助けることも可能だ」との意見を示した。もうひとりの有識者・田原氏も、
「皇室活動の維持という観点からいって、悠仁さまが天皇になられたとき、不幸な場合には宮家がなくなり、相談相手もおらず不都合なことになる。そうした意味で、女性宮家には原則的に賛成だ」
と、両者とも女性宮家創設に賛成の意向を表明した。
女性宮家の創設で大きな問題となるのは、その配偶者をどう処遇するかということと、生まれた子供に皇位継承を認めるかどうか。この問題については、今谷氏も田原氏も、女性皇族と結婚する男性を「準皇族」と位置づけた。また女性宮家に生まれる子の身分については、今谷氏が「女性宮家は一代限り」という意見に対し、田原氏は「親は皇族なのに、子供だけが自活しろというのはわかりにくい。子供も宮家にしたほうが無難だ」と、両者の見解は異なった。
それでも、今回のふたりは“女性宮家賛成派”だが、一方で根強い反対論を唱える有識者もいる。それは125代、万世一系男系をもって受け継がれてきたという歴史を守るべきという考え方からだ。今後、反対論を掲げる有識者のヒアリングに注目が集まるが、その一方でこんな声も。
「ヒアリング自体、形式的なもので、積極的に女性宮家創設を真剣に考えようという雰囲気ではないようです。しかも、国会が解散し、首相が交代となればまたゼロからやり直しになるわけですから、真剣にならないのかもしれませんが、関係者からは、すでに“大丈夫か!?”の声があがっています」(宮内庁関係者)
※女性セブン2012年3月22日号