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番犬育てるにはオスワリ、オテ、オアズケ程度だけを教える

 西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、「番犬」の作り方ついて解説する。

 * * *
 犬は未知な対象に対して不安を感じ、警戒し吠える。そういう要素をもって生まれてきている。

 番犬とは、この要素を人間が利用してきたわけですな。であれば立派な番犬を育てるには、家に近づくモノや音に、まずは不安を感じるようにすることが肝要。で、そのために、欠かせないのが3つ。

 1つは、「社会化」をしないってこと。社会化ってのは、人間社会の様々なモノや音に慣らすこと。そんなことしちゃったら、未知な対象に対して、それほど警戒しなくなっちゃう。結果、吠えない。

 次に重要なのは、食事を目の前にしての、オスワリ、オテ、オアズケ程度しか教えないこと。人間もそうだけど、どうしたらいいのかわからない時には不安になる。いろんなことを教えない方が、日常的に多くの不安を抱えることになり、ちょっとしたことで過剰に反応するようになるってわけです。

 最後は「叱る」。「叱れば直る」は幻想。叱ることでは、どうしたらいいのかを思惑通りには伝えられない。先に述べたように、どうしたらいいかがわからないってのは不安の素。結果、ちょっとしたことに、これまた過剰に反応するようになる。

 どうです、番犬の作り方。簡単でしょう? ただ、警戒吠えなどせず、居間でまったりと過ごせるような、なんか癒されるなぁっていう存在に、犬を育てたいのなら話は別ですよ。

※週刊ポスト2012年3月23日号

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