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リストラが必要な会社で労働条件変更拒むと整理解雇の対象に

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「労働条件が急に変更された場合、どのように対処したらいいでしょう」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 同僚が会社から、「これからは1年契約の有期雇用になる」と突然いわれました。会社の経営状況が厳しく、私もいつ同じようになるかと思うと不安です。このような労働条件の変更は受け入れるしかないように思われますが、どのように考え、どう対応すればいいでしょうか。

【回答】
 労働条件の変更は、使用主と労働者の合意による場合と、就業規則の変更による場合があります(労働契約法第8条。第9条)。あなたの同僚は、期間の定めのない雇用契約を、会社との合意で有期契約に変更したようです。

 合意による変更は、任意である限り、変更後の労働条件が就業規則より劣悪でなければ有効です。しかし、合意ですから、断わることができます。特に有期契約への変更は、雇用の継続性に不安があるので慎重に対応すべきです。

 ただし、会社にリストラの必要があって、労働条件の変更以外に代替策もなく、組合などにも十分説明され、対象者の選択に合理性がある場合、断わると整理解雇の対象になる可能性もあります。納得できない労働条件の変更には、その必要性や、なぜ自分なのかの理由を確認し、組合とも相談して対処することをお勧めします。

 就業規則の変更による労働条件の変更は、使用者が組合や職場の代表の意見聴取と、労働基準監督署への届け出という法定の手続きをとって就業規則を変更してできるので、個別の労働者の同意は不要です。就業規則には、多数の労働者を集団的、画一的に扱う効力があるからです。ただし、労働者に不利益を発生させる場合、変更の必要性と内容を我慢させることを許容できる合理性が必要です。

 賃金、退職金など労働者の重要な権利や労働条件に不利益を及ぼす就業規則の変更は、高度の必要性に基づいた合理的な内容でなくてはならないとされています。

 具体的には、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、労働組合等との交渉状況、その他の就業規則の変更が合理的なときに変更が有効と定められています。そこで、就業規則を変更する場合、このような観点から合理性を検証する必要があります。

※週刊ポスト2012年3月23日号

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