新入学や引っ越しでライフスタイルが変わり、行楽にも絶好の季節となる春は、クルマ選びにも最適な時期だ。そうはいっても相変わらず厳しい経済環境。“エコノミー”で“エコロジー”な、家計にも環境にも優しい1台の選び方とは?
「多くの自動車メーカーやディーラーが決算を迎えるこの時期は、割引やお得なサービスなどクルマ購入にはうれしいタイミング。さらに今年はエコカー補助金が復活して、基準を達成したエコカーなら、普通車(登録車)で10万円、軽自動車で7万円もお得に。4月1日からは自動車取得税、5月1日からは自動車重量税の新しいエコカー減税もスタートするのでさらにお得感は大きいですね」と、カーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子さん。
15年前にプリウスが登場してから、エコカーといえば電気とガソリンを燃料とするハイブリッド車だった。その後、電気だけで走る電気自動車が市販化。さらに、ガソリンだけで低燃費を実現する第3のエコカーが登場。昨年には新たに軽自動車も競争に加わり、エコカーの選択肢は大きく広がった。
「電力を使うハイブリッド車と電気自動車は、どちらもまだ高価で重いバッテリーを積んでいるため、購入価格が高く、エコ運転にもコツが必要でした。そこへ登場したのが、ガソリンだけで無駄なく走る第3のエコカー。
省資源で、初期費用が安く、今までのガソリン車と同じ感覚で誰でも意識せずにエコ運転ができることが魅力です。いかにもエコ、という感じが気恥ずかしい人にもぴったりですよね。中でも、ちょっとした街乗りや1人で運転することが多い人には軽自動車がおすすめ。ハイブリッドと変わらない燃費の良さを実感できますよ」(まるもさん・以下「 」内同)
軽自動車というと、ひと昔前までは“ゲタ代わり”といわれたように実用性が売りで、クルマをステイタスと考える世代からは敬遠されがちだった。それがここ数年、コンパクトで、スマートなエコライフを実践する“ダウンサイザー”たちに人気となり、国内自動車市場でのシェアも伸びているという。
「スバル360 に代表されるように、元々日本のクルマ文化は小さいクルマ=軽自動車がリードしていました。そこへアメリカ文化が入ってきたことや急激な経済成長などで、大きいクルマがカッコよくてエライということに。
その意識を覆し、クルマのサイズではなく、環境に負担を掛けないクルマこそがスマートでカッコイイと思う人が増えるきっかけとなったのがプリウスです。さらに小さいクルマの良さが見直され、現在、ハイブリッド車も電気自動車も小型化が世界の流れです。日本独自の軽自動車は、最小限のボディサイズに最小限のエンジンを持ち、カジュアル、ラグジュアリー、スポーティー、ファミリーなど、ニーズに合わせたモデルも毎年続々と登場しています。
特に若い世代には、もはや“ゲタ代わり”といったイメージはないのではないでしょうか。中でも、市場を一歩リードしている感のあるミラ イースはJC08モードで30km/L、元気なのにがさつではない、上質感ある走りが乗っていて楽しいクルマです。贅肉を脱ぎ捨てた軽快感と、大人の男性4人がきちんと乗れる必要十分な装備は、さすが“軽の名手”が作ったクルマだな、と大ヒットも納得できます」
選択肢も増え、お得感もいっぱいのこの時期、早速、エコカーの購入を検討しようと思い立ったら、ディーラーでどんな点を注意したらいいのだろうか。
「小柄な女性が運転するなら、アクセルやブレーキをきちんと踏め、周囲を見渡せるシートポジションができるか。介護や子供の送り迎えにも使うなら、ドアが大きく開くか、シートを倒さなくても荷物がどれだけ入るかなど、生活シーンを想定して、実際に乗り降りしたり、試乗することが大切です。
また、エコカー補助金は予算がなくなった時点で終了となります。購入を考えるなら早めに検討することも必要です」