国内

みんなの党渡辺代表 小沢氏無罪で政局は増税から逆回転予測

 政治資金規正法違反で強制起訴された小沢一郎・元民主党党首に対する判決が4月26日に下る。

「小沢一郎裁判」とは何だったのか。

 政権交代直前の西松建設事件捜査で小沢一郎氏は民主党代表を辞任し、政権交代を実現した直後には陸山会事件捜査で幹事長を辞任、そして民主党代表選さなかの検察審査会の強制起訴議決で刑事被告人となった。

 捜査の現場指揮を執った吉田正喜・東京地検特捜部副部長(当時)は、

「これは検察対小沢の全面戦争だ」

 と捜査に当たる検事たちに檄を飛ばし、新聞・テレビは「巨悪に挑む正義の検察」を礼賛するリーク報道を展開してきた。

 その異様さを、日本の現代政治を30年以上にわたって研究してきたオランダ人政治学者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、霞が関、検察、大メディアという利権複合体が体制にとって脅威である小沢氏の評判や人物像を破壊して政治的に抹殺しようとする「人物破壊」だと指摘した。

 問題は、破壊されたのが小沢氏の政治的人格だけではないことだ。

 捜査から公判までの3年間で、検察の“みせしめ捜査”に恐れをなした民主党政権は権力機構の改革から逃げ出し、いまや野田政権は利権複合体の下僕となって大増税に突っ走っている。政治は停滞し、期待を裏切られた国民は政治・経済・社会の変革への希望さえ見いだせなくなりつつある。

 それが「検察対小沢の全面戦争」の真の狙いでもあった。ウォルフレン氏のいう官僚・司法・報道機関の利権複合体は、もはや小沢氏が無罪になろうと、有罪であろうと、「国民の政治への期待を奪い、体制変革の芽をつぶす」という目的を九分九厘まで達成したと考えているはずだ。

 この4月26日に東京地裁で小沢公判の一審判決が下る。日本の政治に、残りの一厘から再び体制変革の歯車を動かすダイナミズムが残っているかが問われている。

 永田町は小沢氏への判決を固唾をのんで見守っている。消費税増税法案だけではなく、野田政権の命運をも大きく左右するからだ。

 増税反対を掲げるみんなの党の渡辺喜美・代表はこう見る。

「私はまず無罪判決だろうと考えているが、その場合、民主党内では増税反対派へのレバレッジが働いて増税派との力関係が逆転する。野田首相と増税連合を組もうとしている自民党の谷垣執行部も戦略が狂う。4.26を境に政局の歯車が増税から逆回転し始めることになるだろう」

 民主党でとくに見逃せないのは中間派の動向だ。野田首相は「増税に命を懸ける」と宣言し、新聞・テレビは増税に反対しているのは小沢グループだけのように報じているが、実際は、党内では増税推進派の方が少数派で、反対派や声をあげない慎重派(中間派)が大部分を占めている。

 そうした党内事情を露呈したのが、3月28日未明に前原誠司・政調会長が大荒れの中で増税法案の党内審査を打ち切った後に行なわれた秘密交渉だ。輿石東・幹事長が混乱収拾のために増税推進派、中間派、反対派から党役員以外の議員を公平に2人ずつ出して話し合いを持つことを指示し、反対派は川内博史、辻恵の両氏、中間派は馬淵澄夫氏と篠原孝氏が出席したが、推進派から出たのは吉良州司氏だけだった。

「増税推進派には政府と党の役職についている議員以外でめぼしい者がいない。あとひとりが見当たらなかった」(出席者)というのである。交渉は反対派を説得できずに決裂した。

※週刊ポスト2012年4月20日号

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン