国内

震度7の首都直下型地震 建物30万棟倒壊で1万人以上即死も

 政府の地震調査委員会が「今後30年以内に70%」、東京大学地震研究所が「4年以内に50%以下」と発生確率を試算する首都直下型地震。

 政府は震源地の違いで18のケースを想定しているが、3月30日、その中で最も被害が大きいとされる東京湾北部を震源とした地震の想定震度を6強から7へと修正した。2007年から2011年にかけて首都圏直下の地震の調査を行ってきた、文部科学省のプロジェクトチームによるものだ。

「これまで考えられていた震源よりも10kmも浅い位置に地震を起こす可能性のあるプレートの境界があることがわかりました。震源や地盤の強さなどを踏まえたうえで試算したところ、23区のほとんどが震度6強、一部が震度7の可能性が出てきました」(文部科学省地震・防災研究課)

 震度6強から震度7へ。数字上ではわずかに思われる違いだが、その破壊力には「格段の差がある」と武蔵野学院大学・島村英紀特任教授は説明する。

「震度6強から7に変わるだけで、建造物の全壊率は3~4倍も上がってしまいます。東京湾北部地震は最大震度6強で、建物の倒壊は15万棟を想定していますが、最大震度7となれば最低でも30万棟が破壊され、発生時刻によっては、1万人以上の人が建物の下敷きとなって即死してしまうことが考えられます」

 地震対策としては、1981年に「震度6強の地震が来ても即座に建物が破壊されない」ことを目指し、建築基準法が改正された。

 1995年の阪神・淡路大震災の際も、この建築基準にのっとって建てられた建物は簡単に倒壊することはなく、死者が出た例も少なかった。しかし防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さんはこんな警鐘を鳴らす。

「新耐震基準の狙いはあくまで“震度6強まで耐えられる建物を作る”というもの。想定外の震度7で揺さぶられてしまったら、1981年以降に建設された建物でも被害が生じることは充分にあります」

※女性セブン2012年4月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン