電気通信事業者協会が3月末にまとめた数字によると、2011年度の純増争いはソフトバンクモバイルが2年連続で首位になった。
3月末のソフトバンク契約数は2895万件と、前年同期比14%増。年度の純増数はソフトバンクが60万3千で、ドコモ25万2千件、KDDI43万7千件を大きく引き離している。
ソフトバンクが好調な理由については、「新しいiPad」のほか、iPhone4SについてKDDIよりも優位にあったことが大きいだろう。iPhoneについては、KDDIも昨年11月に参入したが、ソフトバンクが先に販売していた企業としてのノウハウの蓄積などにより、サービス面や価格、料金プランなどで対抗。販売前には「KDDIのほうが、速度が速いのではないか」と大きな話題になったが、実際は「海外ローミングができない」「Wi-Fiスポット数に2倍以上差がある」「絵文字が使えない」など、KDDIの弱点を指摘する声が相次いだ。
また、3月の純増数としても過去最高をマークしたのには、ソフトバンクの柔軟な姿勢が結果につながった。たとえば学割キャンペーンでは、ユーザーにとって得になるよう、1月に内容を改訂。学生の家族が新規契約した場合、「ホワイトプラン」の月額基本使用料が無料となる期間は1年間とされていたが、改定後はKDDIと同様15ケ月間無料にした。
また、パケット割引については、KDDIが25歳以下の契約者(小学生の場合は利用者でも可)がスマートフォンを購入すると最大24ケ月間パケット定額制の月額金額を4,410円にした一方で、ソフトバンクは下限額をゼロ円とし、月額金額の上限を4,410円と設定。さらに期間を3年間とKDDIよりも1年間長く設けている。パケット代がゼロ円からスタートするのは大手3社のなかでもソフトバンクのみという点など、ユーザーにとってより得になるプランを細やかに提案してきたことが純増につながったともいえる。
なお、KDDIでも、3月にさまざまなiPhoneの機能改善を行なったり、3月1日から新サービスの「auスマートパス」「auスマートバリュー」を開始するなどで、契約数を伸ばしたい構え。対するソフトバンクは、同社指定の固定通信サービスとスマートフォンをセットで利用した場合に、スマートフォンのパケット通信料を割り引く「スマホBB割」 を実施するなど、こちらでも徹底抗戦だ。料金面だけでなく、電波面をみてみると、ソフトバンクはプラチナバンドを獲得したことで7月より電波が大幅に改善することが見込まれている。2012年度は、携帯電話各社がますますしのぎを削る争いになりそうである。