今季から中国のプロサッカーチーム・杭州緑城で指揮をとる元日本代表監督の岡田武史氏(55)。クールな風貌とあいまって日本での人気は正直微妙だったが、海の向こうでの滑り出しは上々のようである。
スーパーリーグ(日本のJ1に相当)関係者が語る。
「中国のリーグはスカウティングから選手起用まで“コネ”が大きく作用する文化がいまだに根強くあり、それが八百長騒動と結びついてもいた。岡田監督は就任早々、トップチームにいたオーナーの親戚を含む8選手のクビを切ってユースから7選手を昇格させた。サッカー関係者、サポーターからは“英断”と囃し立てられています」
杭州は上海の南西200キロに位置する観光都市。チームの親会社は不動産ディベロッパーで、資金力も実績もトップクラスとは言い難い。それだけに、W杯16強の実績をひっさげチーム入りした岡田監督への注目度は断然高い。スタジアムには横断幕が張られ、市内のレストランでは握手攻めになるほどのカリスマ的人気を誇っているという。
「3月25日の対北京国安戦で、ブラジル人助っ人のレナチーニョ(元川崎)を“個人プレーに走りすぎる”という理由でスタメンから外したことも驚嘆をもって伝えられました」(同前)
岡田氏といえば、1998年W杯フランス大会直前の「外れるのはカズ、三浦カズ」との名言で日本中を沸かせ、先の南アフリカ大会では中村俊輔をスタメンから落とした“非情の男”だが、彼の地でも「リストラのカリスマ」として名を馳せているというのだ。
ただ、強面一辺倒というわけでもないらしい。市内で焼き肉店を営む熱狂的サポーターが語る。
「岡田サンは、人間性も素晴らしいヨ。クラブが用意したBMWの高級SUVも辞退して大衆車(米ビュイック)に乗っているし、チーム関係者と食事するときも、活躍した選手に金一封を出す時も全部監督の自腹。サポーターと写真撮るのも厭わない。岡田サンのことを悪くいう人はいないヨ」
※週刊ポスト2012年4月27日号
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