国内

空前の1104億円売上のジャンボくじ 復興支援に150億円出す

 昨年7~9月、被災9県2市と東京都が「東日本大震災復興宝くじ」を計6回発売した。収益の9割(約45億円)は被災4自治体に送られ、そのうちの宮城県では約12億円の分配を受け、「今後、地域コミュニティの維持のために使う予定」(宮城県財政課)という。宝くじを購入すれば「震災復興」に役立つと知って、多くの人が協力を買って出たのだろう。

 前出のくじと同じく、〈収益金は、東日本大震災の被災地の地方公共団体の災害復興に役立てられます〉(ニュースリリースより)という宣伝文句で売り出されたのが、「東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじ」(2月14日~3月14日発売、23日抽せん)だった。

 東京都内の売り場には「復興宝くじ 発売中」というのぼりが立てられ、被災地の役に立つことを強くアピール。復興支援の一環として被災自治体の特産物(例えば岩手県の南部鉄器IH対応すき焼き鍋)を抽せんしてプレゼントするというキャンペーンも行なった。さらには抽せん会場に被災地の仙台市泉文化創造センターを選び、震災復興が前面に押し出された。

 このいつもとは趣を異にしたジャンボ宝くじは空前の売り上げを記録した。当初予想660億円を7割も上回って1104億円にも上った。宝くじを所管する川端達夫・総務相が会見で「国民の復興を支えようという気持ちがこういう売り上げに繋がった。大変ありがたい」と話したように、1等、前後賞合わせて史上最高5億円の当せん金額、SMAP・木村拓哉のCM起用も販売増に影響しただろうが、決め手になったのは「収益が復興支援にあてられる」という文句だった。

 昨年発売された復興宝くじと同じように、収益のほぼ全額が被災地に回って復興に役立つと思って購入した人は多いだろう。しかし、実際に復興支援にあてられるのは売り上げの14%にも満たないという事実を知っている国民がどれほどいるだろうか。実は、あなたが買った宝くじ1枚300円のうち、復興費用に回されるのはたった39円でしかないのである。

 年3回発売されるジャンボ宝くじ(グリーン・サマー・年末)の発行主体は全国の地方自治体(都道府県・政令指定都市66団体)だ。宝くじの売上金は、当せん金が約46%、経費が約15%、地方自治体に入る収益金が約39%になる(2010年実績)。

 今回の売り上げ1104億円のうち収益金は約490億円。これだけ震災復興を謳っているのだから、収益金は被災地に行くのが普通だが、そうはなっていない。復興支援に回されるのはわずか150億円に過ぎず、収益の7割(340億円)は従来通りに地方自治体のシロアリ官僚たちが分捕ることになった。

 当初は売り上げを660億円、収益は288億円と予定していたので、被災地に88億円、地方自治体に回す金は200億円のはずだった。それが復興支援を銘打ったことで大幅に売り上げが伸びたわけだから、実際の収益490億円のうち、自治体分を除く290億円を復興に使えばよかったはずだ。しかし、地方シロアリは自分たちの取り分も大幅に増やし、340億円を得た。少なくとも140億円の増額分は被災地に回すのが筋だったのではないか。

※週刊ポスト2012年4月27日号

関連記事

トピックス

都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン