4月、新学期が来ると憂鬱なのは、「友達」ではない「ママ友」というビミョーな関係。「子供のために」と思って、ママ友たちとはなるべく交流しようと努力しているけど、子供の塾のこと、夫の職業、あげくにはランチにかけるお金のことでさえ突っ込まれがちで、正直全然楽しめてない。こうした“ママ友”独特の関係を、“パパ”はどう見ているのだろうか。
PTA会長には男性が就くことも多いが、男性書評ライターの杉江松恋さんは、3期にわたって子供が通う公立小学校のPTA会長を経験した。
「もともと地元の人間ではなかったので、子供のために近隣の人たちと仲良くしなければと思い、PTAの活動に参加しました。でも、まさか会長になってしまうとは…」
そう話す杉江さんを待っていたのは、驚きの連続だったという。
「まず大変だったのが女性同士の派閥争い。お互いに相手を批判するメールをぼくのところに送ってくるんです。それが1日に何十通も来て、すぐに返信しないと『私のことを悪くいっているんでしょ』となる。正直、面倒くさい時期もありました」(杉江さん)
一緒にいるのに、別の派閥のママとはお互いに口をきかなかったり、運営委員会で同じ側に座らなければいけない役員たちが、別々に座っていたこともあったという。
「最初から仲のいい人同士で固まっていて、彼女たちは自分たちなりのやり方やルールをもっている。で、それを変えられることをとても嫌がるんです。会社なら、『こうするほうが合理的だから、今年はこう変えましょう』といえますが、PTAにはそうした柔軟性がありません。何かを変えるときにはきちんと一から説明することが必要で、それを怠ってしまったがために不信感が生まれたこともありました」(杉江さん)
女性は働いている、働いていない、子供がひとりかきょうだいがいるか、大学を出ているか…など、カテゴライズが好きだ。そのため、すぐに派閥をつくってしまう。
妻がPTAの広報委員を務めているというライターの北尾トロさんも、男性の立場からママ友関係をこう見る。
「子供が同じクラスだとか、そういうことだけでつながっていて、ファミレスで1時間でも2時間でもおしゃべりできる。男目線で見ると、ママ友って謎ですね。“好きでファミレスに行ってるんじゃないわよ”といわれても、理解できないというか。でも、ママさんたちのネットワークをつくる力とか、タフさはすごいなと思う」
※女性セブン2012年5月3日号