最大9連休のゴールデンウィークがやってくる。だが、国内で2泊3日以上の観光旅行に出かける人は、果たしてどれほどいるのだろうか。日本人の国内観光旅行は「1泊2日」が基本パターンだが、そんなことは欧米では聞いたことがないと大前研一氏は指摘する。以下は、大前氏の解説である。
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観光庁の調査によれば、2010年の国民1人あたりの国内宿泊旅行の平均回数は年間2.64回、平均泊数は2.09泊である。ただし、帰省や知人訪問、冠婚葬祭への参加、出張・業務旅行を除いた「観光・レクリエーション旅行」に限ると、平均回数は年間1.45回、平均泊数は1.58泊だ。
つまり、日本人の国内観光旅行は「1泊2日」が基本パターンなのだ。2泊以上の旅行でも、同じ宿に連泊するケースは少ない。
だが、「1泊2日」は日本独特の概念であり、欧米では聞いたことがない。週末にロンドンからパリに出かけ、美味しい食事を楽しんで帰ってくるようなパターンはあるが、それはバケーションではなく“ウィークエンド旅行”と呼ぶ。
ヨーロッパの一般大衆のバケーションは1か月以上、最も長いイタリア人の夏休みは3か月である。そうなると、1泊2日や2泊3日で5万円というモデルは成り立たない。では、どうするのか?
外国の家を丸ごと1か月単位で借り、車で必要な家財道具を持って行って家族で滞在するのである。ドイツ人はイタリアに行き、ドイツ人に家を貸したイタリア人はそのお金でスペインの田舎に行き、イタリア人に家を貸したスペイン人はそのお金でポルトガルやモロッコに行く、という玉突き現象が起きるのだ。
アメリカの場合も、1か月単位の旅行に出かける時は家を貸す。たとえば、北部に住んでいる人たちは、南部のフロリダやジョージアやサウスカロライナなどに行っている間、ベビーシッターならぬ「ハウスシッター」を募集する。
家を長期間留守にするのは心配だから、信頼できる人に貸し出すのだ。そうするとヨーロッパの学者やアメリカ国内の家族連れがやって来て、家の面倒を見る代わりに安く宿泊するのである。
※週刊ポスト2012年5月4日・11日号