2006年8月、中国四川省の「成都ジャイアント・パンダ繁殖研究基地」で51gという小ささで誕生したパンダの51(ウーイー)。映画にもなったウーイーのエピソードのひとつを、『51(ウーイー)世界で一番小さく生まれたパンダ』(小学館)著者・張雲暉氏が紹介する。
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ウーイーは、頭の良さもピカイチでした。
誰が呼んでも、自分のことだとわかっているようなのです。
「パンダには四川語しかわからない。同じ中国語でも北京語や上海語では通じない」
これは飼育員の間の笑い話ですが、実際、その通りなんです。例えば、他のパンダに北京語で呼びかけても、反応は返ってこないでしょう。
では四川語で呼んだら振り向いてくれるのかと言えば、そうではありません。パンダはそれぞれの担当の飼育員に四川語で語りかけられた時だけ、反応するのです。パンダは、飼育員の声質や発音のニュアンスを感じ取っているようなのです。
ところがウーイーだけは違います。
生まれ落ちてからすぐに、「ウーイー」と呼ばれ続けた彼は、自分の名前がウーイーであることをはっきりと認識しているのです。だから誰が呼んでも反応し日本人が呼んでも、ウーイーにならわかってしまうのです。
音楽好きだったことにも関係があるのでしょうか。ウーイーは耳がいいのです。
撮影■張志和
※『51(ウーイー)世界で一番小さく生まれたパンダ』(小学館)より