まだ寒さの残る3月下旬、都内のあるスーパーの野菜売り場。1袋20円のもやしに2本の手が伸びた。手と手が触れ合うと、ひとりの女性客がハッとした様子で、「失礼いたしました」と頭を下げた。エコバッグを抱え、化粧っ気もほとんどなく、ラフな普段着姿のその女性客は黒田清子さん(43才)だった。
決して贅沢することなく、少しでも安い食材を購入しようとする姿からは、どこにでもいる普通の主婦といった雰囲気が伝わってくる。
「清子さんは、比較的買い物客も少なくて、品物をゆっくりと選べる平日の午前中の時間帯によくお見かけしますよ」(常連客)
また近所のコンビニでも、こんな姿が目撃されている。
「いつも大きな水のペットボトルを買っていかれるんですけど、会計は電子マネーで、ポイントカードもちゃんと貯めていらっしゃるようですよ。会計が終わると、いつも笑顔で“ありがとう”と店員さんに挨拶していかれるのが印象的ですね」(目撃した常連客)
2005年11月に都庁職員・黒田慶樹さん(47才)と結婚し、皇籍を離れてから6年半の歳月が流れたが、かつて“サーヤ”と呼ばれ、国民から愛された紀宮さまは、“黒田清子”として見事なまでに一般社会に溶け込んでいた。
そんな清子さんは、専業主婦として夫・黒田さんを支えている。最近では、都庁で勤務する黒田さんが建設局の課長補佐から課長に昇進したという報道もあった。
慎ましくも幸せな家庭生活を送る清子さんだが、ここにきて、その身辺が慌ただしくなっている。それは、いま話題となっている“女性宮家創設”を巡ってのことだ。
いま皇室が抱える最大の問題は皇統の存続である。現行の皇室典範では、未婚の皇族女性は一般男子と結婚すれば、皇室を去らなくてはならない。
つまり、秋篠宮家の長男・悠仁さま(5才)が成人になられるときには、年齢の近い皇族は誰もいなくなってしまうという可能性すらある。そこで皇族の減少を食い止めるために、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる制度をつくろうというのが女性宮家創設への動きだ。
現在、政府は具現化に向け「皇室制度に関する有識者ヒアリング」を開いているのだが、2月29日に行われた第1回目のヒアリングに登場した歴史学者(日本中世史)で帝京大特任教授の今谷明氏(69才)の発言が大きな波紋を呼んでいる。
このヒアリングで今谷氏は、「女性宮家は幕末以前にも例があり、決して不自然ではない」と女性宮家創設に賛成を表明したうえで、「宮家をつくる皇族女子の範囲は、内親王である愛子さま、眞子さま、佳子さま、そして黒田清子さんの復帰などできる限り小規模に」と清子さんの皇族復帰を期待する発言を。これによって一気に“清子さん待望論”が加速したのだった。この発言の真意を、あらためて今谷氏に聞いた。
「いったん市民になっておられますので難しいことかもしれませんが、私としてはぜひとも清子さんに戻っていただきたい。何より両陛下が、清子さんのことを非常に頼りにされておられます。そういうかたに女性宮家の中心になっていただければと思ったのです」
※女性セブン2012年5月10・17日号