日本には約18万の宗教法人があるが、そのうち約4000団体が「休眠宗教法人」である。 宗教法人には「税制優遇」があるため、脱税や節税を目論む業者が休眠状態の宗教法人格を手に入れるためにあの手この手を駆使し、売買を仲立ちする「宗教ブローカー」まで存在する。
最近ではネット上に「税金対策」と銘打って買い手を募るサイトも登場した。2009年にはある宗教法人がネットオークションに出品した宗教団体に1億円の値がつき、当局が調査に乗り出す事件も起きた。こうした状況に宗教法人を監督する文化庁はお手上げ状態だという。
「対策としては休眠法人の合併や解散を促すことですが、政治の宗教介入という問題が絡むために、強制力のない『助言』しかできません。また、休眠状態かどうかを調査する費用も乏しいので整理が進んでいないのが現状です」(宗務課)
宗教問題にくわしい紀藤正樹・弁護士はこう指摘する。
「休眠状態になった団体を自動解散にするか、売買そのものを違法とするような法整備が必要です。近年、檀家離れや後継者難で休眠状態になる宗教法人が増えているので、一刻も早い対策が必要です」
※週刊ポスト2012年5月4・11日号