群馬県の関越自動車道で4月29日、7人が死亡し、39人が重軽傷を負った高速バスツアー事故。格安の裏側にある危険――その事実を改めて思い知らされた。高速バスで身の安全を守るには、どのようなことに注意するべきか。危ないバスを見極めるためにも、以下のことをしっかり覚えておこう。
まず、400km以上では、運転手が2人体制であるということ。
国交省は2007年に運転手の乗務距離を1日670km未満とするなどの規定を設けている。しかし、これは、新宿―青森・八戸の片道に相当する距離でかなり長い。深夜に1人で運転して、本当に大丈夫なのか。交通ジャーナリストの鈴木文彦さんは「この距離はあくまでも上限」とする。
「670km未満なら安全というわけではない。通常のバスツアーなら、1日400km以上の夜行運転では2人体制が当たり前。走行距離と運転手の数は、運行会社や旅行会社に問い合わせれば教えてもらえます」
また、安全性に定評があるのは「路線バス」だという。
長距離を走る高速バスには、「路線バス」と「ツアーバス」の2種類がある。「路線バス」は、運行ルートや時刻、運賃などを国土交通省の許可を得て行っている乗り合いバス。前述の2000年の法改正前から運行しているバスで、JRや私鉄の系列会社が多い。
もうひとつが、新規参入組の「ツアーバス」で、旅行会社が企画して、それに基づいてバス会社が請け負って運行する。決まった停留所はなく、乗客が最少催行人数に達しなければ、運行は中止される。
交通評論家の角本良平さんは、安全性を重視するのなら「路線バス」だという。
「路線バスは、運賃が高い分、安全のためにコストをかけています。何より、運転手が路線に精通しています。ツアーバスの場合、安全性はピンからキリで、運転する路線が毎日変わるような運転手も多い」(角本さん)
実際、今回事故を起こしたのは、大阪府の旅行会社「ハーヴェストホールディングス」から孫請けした「陸援隊」のツアーバスだった。
昨年の8月から国交省と日本バス協会が連携して、バス会社に行っている安全性評価認定もチェックを。
法令を順守しているか、定期的な運転教育や労働時間の厳守を行っているか――などをチェックして「★」「★★」「★★★」の三段階の評価認定を与える。これまで「★」を取得したのは222社。
「★を獲得した会社が2年後も一定の安全評価を維持していれば★★に、さらにその2年後もクリアすれば★★★になります」(日本バス協会)
安全性評価認定を受けた会社は、日本バス協会のホームページ(http://www.bus.or. jp/about/nintei.html)に記載されているので確認を。
※女性セブン2012年5月24日号