本サイトでは、近年になって、スカートめくりが激減していることをお伝えしている(関連記事参照)。
昭和末期の新聞記事を読むと、まだまだスカートめくりには寛容だったことが伺える。たとえば、読売新聞にはこのような記述がある。
「タイの番組規制は、たとえばアニメのスカートめくり程度のエッチ場面も、暴力シーンと同様にカットされる」(昭和62年9月28日夕刊、『ジャパネスク新世紀 第一部(8)東南アジアとの落差(上)』より)
エッチなことではあるが、日本ではあくまで「スカートめくり程度」という認識だったのだ。
当時のテレビ番組を振り返ると、ドラマ『スクール☆ウォーズ』(昭和59年10月~60年4月)では、オープニング曲が流れる映像中に、思いっきりスカートめくりされる女子高生が映し出されていたが、特に問題視されることはなかった。
当時は、スカートめくりどころか、もっと過激な番組も放送されていた。ドラマ『毎度おさわがせします』(TBS系、昭和60年1月~3月)は、サブタイトルからして卑猥だった。1話目が『こんにちはポコチン』で、最終回が『走れポコチン』。ちなみに、3話目は『パンツでデート』、4話目は『オッパイに乾杯』である。
このようなドラマがゴールデンタイムで流れていた時代背景を考えれば、「スカートめくり程度」という表現がよく理解できるだろう。
当時の日本経済新聞では、横浜国立大学名誉教授の間宮武氏がこう語っている。
「小学校低・中学年では性に関する意識こそ芽生えているが、性行動と結びつきにくい。口ではエロイといったり、恥じらいを示したりするが、スカートめくりなどの行動にしてもいたずらのたぐいに属する」(昭和63年1月16日朝刊、『性教育のカルテ(4)ポルノ類への関心しかるだけではダメ』より)
あくまで、「いたずらの類」であったのだ。現在は乃木坂46が新曲でスカートめくりの振付を取り入れただけで世間が騒ぎたてる時代だが、昭和末期は『オッパイに乾杯』していた、たいそう牧歌的な時代だったのである。