電力会社が発表した電力の需給予測では、原発の再稼働がゼロで今年が一昨年並の猛暑になった場合、関西電力など電力会社3社が電力不足になると訴えている。このように電力の供給不足の問題でたびたび持ち出されるのが“一昨年並の猛暑”。一昨年は平均気温の統計を開始した1898年以降の112年間で最も高かった記録的な猛暑だが、果たして今年、そんなに暑い夏になる可能性はあるのだろうか?
気象予報士の岩谷忠幸さんはこう語る。
「5月の後半から6月、7月にかけては、気温は高めになるでしょう。ただ、猛暑の原因となるラニーニャ現象は終息していますし、一昨年並の猛暑にはならないとみています」
気象庁の5~7月の3か月予報でも、東日本は平年並み、西日本で昨年並みとなるとしており、一昨年並の猛暑にはならないという。
8月以降の天候についてはエルニーニョ現象が発生するかどうかに左右されるという。
「エルニーニョ現象が発生すると、日本の場合は冷夏になる傾向があります。7月まで暑さが続いても、8月にエルニーニョが発生すれば、暑さは長続きせずに涼しくなってくる可能性があります」(岩谷さん)とのことで、猛暑どころか冷夏になる可能性も。
それとは別に、天候不順も懸念される。最近でも竜巻や雷が発生したり、ひょうが降るなど、不安定な天候が続いているが、これは強い寒気が南下することによるもの。春から北極からの寒気が日本に流れやすくなっており、まだしばらくはこうした天候不順が続くとみられている。岩谷さんもこう指摘する。
「全体的には気温は高くなり、晴れる日は暑くなると思いますが、ときどき急に寒気が南下してきて局地的に激しい雨を降らせるような天候不順が続くでしょう。そのため、日によって寒暖の差が激しくなる可能性があります」
天候が不安定な状態は続きそうだが、ひとまず猛暑となることは避けられそう。電力不足を一昨年の猛暑と比較しても、あまり意味がないことは明らかなのだが…。