古代ローマ人が、現代の日本の銭湯にタイムスリップしてしまう映画『テルマエ・ロマエ』。なんとイタリアでの公開も決まり、世界的な大ヒット作品となりそうな予感も。街ナカに増えた温泉施設が人気だが、今一度「銭湯」をおさらいしよう。
現在、全国にある銭湯の数は5449軒。昭和40年代には2万軒以上あったが、減少の一途をたどっている。ちなみに、厚生労働省の衛生行政報告例によれば、全国でいちばん銭湯が多い都道府県は、大阪府の898軒。次いで東京都の800軒。最も少ないのは山形県で、なんとたった1軒しかない。
料金は、地域によって違うのだが、いちばん高いのは、東京都、神奈川県の450円。逆に安いのは、鳥取県、長崎県、宮崎県の350円だ。
そんな銭湯が、映画『テルマエ・ロマエ』のヒットを受けいま再び注目されている。その魅力をあらためて挙げてみると──。
【季節の湯のお楽しみ】
銭湯では、季節ごとに特別な湯を用意していることがある。主な季節湯と効果を紹介するので、近くの銭湯が実施しているか確認してみよう。
1月:松湯 血行促進
2月:大根湯 冷え症対策
3月:よもぎ湯 殺菌作用
4月:桜湯 炎症を抑える
5月:菖蒲湯 鎮静作用
6月:どくだみ湯 美肌
7月:桃湯 虫さされ
8月:はっか湯 保温効果
9月:菊湯 目の疲れ
10月:しょうが湯 風邪予防
11月:みかん湯 安眠効果
12月:ゆず湯 風邪予防
『銭湯の謎』(扶桑社)の著書がある銭湯博士の町田忍氏によると、洗髪などをする洗い場には、“あるルール”があるという。
「浴槽に近い所は、常連さんの場所という暗黙のルールがあるんです。一方で、開け閉めするたびに風が入り込む入り口に近い場所は、新参者専用です。初めての人はここを使うと常連から温かく迎えられるかもしれませんよ」
銭湯といえば、富士山、湖といった背景画がつきもの。5月22日に開業するスカイツリーのお膝元、東京・墨田区の荒井湯には、やはりというべきか、お決まりの富士山ではなくスカイツリーを描いた背景画がある。
「男湯は、3年前に完成予想図を役所からもらって、絵師に描いてもらいました。女湯は、完成後に描いてもらって、5月上旬から公開しています」(オーナー・本田義勝さん)
※女性セブン2012年5月31日号