白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏は、白米消費量と糖尿病の発症リスクの相関に注目する。以下、白澤氏の報告だ。
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ハーバード大学栄養学のエミリー・ヒュー博士は白米の消費量と2型糖尿病の発症リスクに関して、日本、中国、米国、オーストラリアで行なわれた観察研究をメタ解析(複数の臨床研究を系統的に解析する手法)し、国際比較を行なった。
日本人と中国人は白米を主食にしているので1日に平均3~4膳の白米を摂取している。週に1~2膳の欧米人に比べて、圧倒的に白米の消費量が多かった。
メタ解析の結果、白米消費量が最も少ないグループに比べて最も多いグループは2型糖尿病の発症リスクが1.27倍に増加していた。特に日本人女性では、白米消費量が多い人の糖尿病発症リスクが1.65倍、中国人女性では1.78倍を示した。日本人男性の場合、白米消費量が多い人の糖尿病の発症リスクは1.19倍と女性に比べると低かった。
日本人の調査を発表した国立国際医療研究センターの南里明子博士によると、1日に茶碗で5膳以上の白米を食べる男性は、3膳未満の男性より糖尿病の発症リスクは1.16倍高くなるという。ご飯が1膳増えるごとに糖尿病の発症率は男性で1.08倍、女性で1.46倍増えると警鐘を鳴らす。
ただし、毎日1時間以上しっかり運動していれば糖尿病の発症リスクは相殺されるので、体を十分に動かしている人は「おかわり」さえしなければ、ご飯の量を減らす必要はなさそうだ。
※週刊ポスト2012年6月1日号