19世紀のアメリカの詩人ホイットマンはこういった。「若い女は美しい。しかし、老いた女はもっと美しい」――。「老いた」とは十分に成熟したという意味である。今、日本でも四十路女の魅力が注目されている。
「女として終わってしまう」――セックスが縁遠くなり、年だけをとっていく日々に焦燥感を募らせる女性たち。実はそれは心ではなく肉体が欲しているのかもしれない。医学的見地からすれば、女性の40代はセックスへの欲求が最も高まっている時期なのだ。
「性欲は男性ホルモンの分泌に左右されます。女性は40代になると女性ホルモンの分泌量は下り坂になり、一方で男性ホルモンの分泌量は変わりません。相対的に男性ホルモンの働きが強く出て、性欲が高まった状態になるのです」
と話すのは、成城松村クリニック院長の松村圭子医師である。さらに40代女性はセックスによる快感を得やすい時期でもあるという。
「男性とは違い、女性の快感は心理的要因の占める割合が大きいんです。40代女性は自分の身体のラインが崩れてきていることを自覚している。にもかかわらず男性に受け入れられることで、失われつつある女性としての自信を取り戻すことができる。
“もうひと花咲かせたい”といった心理的な部分が満たされることで、より快感が高まるのです」(松村氏)
生物学的にみると、40代前半は妊娠できるほぼ最後のチャンス。そのため性欲と同時に生殖器の反応や愛液の分泌などの性機能も高まることがあるそうだ。
「性欲は30代でいったん落ち着き、40歳前後で再びピークを迎えます。閉経が近くなる40代半ば過ぎには、更年期症状のために性欲が減退する人もいますが、閉経しても性欲がなくなるわけではありません」(前出・松村氏)
女性の閉経はだいたい50歳前後だが、個人差が大きく、40代前半で閉経する女性もいる。閉経した女性の場合、避妊のわずらわしさからも解放され、よりセックスに対して積極的になる傾向がある。松村氏によると「思春期の男の子みたいなもの」だとか。
※週刊ポスト2012年6月1日号