みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、火葬における日本と西洋の違いについて考察する。
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火葬炉には二種類あり、そのひとつが台車式。この台車式っていうのはどういうものか? 火葬炉専門メーカー富士建設工業(新潟市)の首脳陣が答える。
「台の上に柩を置いて火葬するので、御遺骨がそのまま残りやすいのが台車式です。人間の体っていうのは、けっこうすぐに焼けてしまうもんなんです。ただお腹の部分。大腸や小腸などの内臓があり水分も多いので、ここだけは焼けにくい。
ところがロストル式(もう一種類の火葬炉。柩をロストルつまり火格子の上にのせる)は柩の下に空気も火もよく通りますから、火葬にかかる時間が短縮できるのです。ロストル式は40分くらい。台車式だと60分くらいかかりますか」
火葬してる間、みんなタバコ吸って待ってたりするんだけど、最近はタバコ吸う人も少なくなったから、どうして時間つぶせばいいかって思うんですよねェ~。
「もちろん台車式もロストル式に負けないような火葬時間の短縮を、今もどんどん目指しています。ロストル式というのは、もともと海外から来た方式なんです。海外は御遺骨に対する扱いが日本とはまるで違いますから」
海外と日本、遺骨の扱いがどう違うというのだろう?
「あちらの場合は、基本的に御遺骨を残す必要がありませんから」
日本人にとってお骨っていったら“魂”だもんねェ。その魂を残す日本の方式は、釈迦が荼毘にふされた時の燃やし方をやっているんだと思いますねェ。燃やした後に骨を残して分骨をしたのはお釈迦さんですから。つまり、骨を残す慣習はインドからきたと思うんだけど、西洋にはそれがないんだね。
※週刊ポスト2012年6月8日号