東京電力は7月1日から家庭向け電気料金の平均10%値上げを決定した。総額2785億円に達する経営合理化を行い“やれることはすべて、すごく頑張ってやった”けれども、それでも約6000億円不足するので“やむを得ず”値上げします、ということらしい。
さらに「資産も売却した」と説明する東電。しかしなぜかここにも手つかずの豪華保養所が残されたままなのだ。
そもそも東電は熱海や鎌倉など関東地方に4か所の社員向け豪華保養所を所有していた。 しかし、このうち売却されたのは熱海にある「東夕熱海荘」1件のみ。湘南海岸に近い「鎌倉荘」の資産価値は約25億円というが、売却する気配は一向にない。
東京・足立区の荒川沿いにある「千住資材センター」も、現在は全く使用されていないにもかかわらず所有のまま。東京ドーム2個分の面積があり、資産価値およそ120億円以上といわれる土地を文字通り “遊ばせて”いる。
他にも、賃貸ビルなど東電が所有する物件をみると、こんな超高額物件がゴロゴロ(資産価値は推計)。
▼新幸橋ビルディング(千代田区内幸町)…246億円
▼東新ビル(港区新橋)…160億円
▼三田中学校仮校舎跡地(港区三田)…283億円
▼芝浦スクエアビル(港区芝浦)…82億円
これらに発送電網などをあわせた総資産はおよそ15兆円にのぼる。経済ジャーナリストの荻原博子さんは次のようにいう。
「こんな企業に“値上げ”を頼まれてもとうていうなずけるものではありません。いわば、豪華な家に住んで、高級車を乗り回している人が“うちも苦しいんです”と、庶民にお金を無心するようなもの」
東電は2011年度から3年以内に2472億円の不動産資産を売却するとしている。
しかし、その実績はというと、「2011年度の不動産資産売却実績は東電グループ全体で502億円」(東京電力広報部)といい、全体の約2割の売却が済んだのみ。スズメの涙程度しか資産売却は進んでいない。
※女性セブン2012年6月14日号