国内

中国が新潟市で5000坪土地購入 日本国内の“中国領”を意味

 中国の在外公館をめぐって、書記官のスパイ活動疑惑より深刻かつ不気味な事態が進行している。舞台は新潟市。国会議事堂より広い5000坪もの広大な土地が中国に買われ、そこに総領事館が移設されようとしているのだ。

 新潟に中国総領事館が設置されたのは、2010年6月のこと。現在、中国は新潟市内に4階建て敷地面積424坪の商業ビルを借りて、総領事館として使っている。しかし、中国側は当初から自前の総領事館を建てたいと、新潟市に土地の紹介を要請していた。

 この要請を受け、新潟市は候補地として数か所を紹介。中でも最有力として浮上したのが、市の中心部にある万代小学校跡地だった。

 2010年8月、新潟市の篠田昭市長は、中国の総領事館建設計画を歓迎し、住民への説明を十分に行なわないまま、中国への土地売却を前提に測量を開始した。

 しかし、これに地元住民が反発。折しも、9月に尖閣諸島周辺海域における、中国漁船による海上保安庁の巡視船への衝突事件が起こったことから、住民の間に不安の声が高まったのだ。

「『万代小学校跡地を中国に売却しないでほしい』という請願が3件、市議会に提出され、昨年3月に市議会で採択された。これを市が重視し、中国への土地売却を断念した」(前出・新潟市役所経済・国際部国際課)

 万代小学校跡地の広さは約5000坪。そして、中国が買った信濃川沿いの土地も5000坪。現在の総領事館の10倍以上にも及ぶ。東京・南麻布の中国大使館でも3333坪である。なぜ中国は総領事館の用地として、5000坪もの広大な土地にこだわるのか。

 中国側は利用目的について、新潟市にこう説明しているという。

「職員は17人程度だが、コックや運転手などを含めるとかなりの数になるので、それらの方々とその家族を住まわせる宿舎を敷地内に入れたい。また、総領事公邸や事務棟、新潟市民とも交流ができる広い庭も作りたいという話だった」(新潟市役所経済・国際部国際課)

 しかし、この説明を鵜呑みにすることはできない。本来、地方の総領事館がやることといえば、職員の人数からもわかるように主たる業務はビザの発行くらい。通商問題の処理等もあるものの、こんなに広大な土地を取得する必要性はまったくないのだ。

 ではなぜ、中国は広大な総領事館、しかも新潟にこだわるのか。

 中国出身で、中国の内情に詳しい石平・拓殖大学客員教授は中国の国家戦略をもとにこう語る。

「中国は2005年に北朝鮮の羅津港を租借し、悲願だった日本海進出の拠点を確保した。そこから新潟までは一直線で、今後、新潟は中国にとって戦略上の重要な拠点となる可能性が十分にある」

 自民党の参院議員で元陸上自衛官の佐藤正久氏は、中国が2年前に制定した「国防動員法」との関連を懸念する。国防動員法とは、中国が他国と戦争状態になった際には、中国国民はすべて動員され、戦争に協力しなければならないとする法律である。その対象は中国国内にいる国民だけでなく、海外に住む中国人も含まれる。

「中国の国防動員法では、有事などの際に、人民解放軍が自国民保護のために他国に上陸することも可能だとしている。日中関係が緊迫した時に、新潟の総領事館はその拠点として、軍事要塞化されるのではないかという不安の声もあるが、我々は許しません。さらにいえば、新潟は北朝鮮による拉致の拠点にもなっていた。中国は北朝鮮の後ろ楯ですから、北朝鮮の工作員なども総領事館に逃げ込む可能性がある」

 問題は、中国が取得した土地にいったん公館が建てられれば、そこに日本の公権力が及ばなくなることだ。

 ウィーン条約は22条1項で次のように規定している。

<使節団の公館は、不可侵とする。接受国の官吏は、使節団の長が同意した場合を除くほか、公館に立ち入ることができない>

 軍事ジャーナリストの井上和彦氏がいう。

「仮に中国が取得した土地に総領事館が建てば、そこは治外法権になってしまう。外交官が普段から使っている車の中も治外法権になる。そうなれば、中国が総領事館の中で、爆弾を作ろうが何をしようが一切手出しはできない。まさに日本国内に“中国の領土”ができるのに等しいのです」

 外務省に問い合わせると、

「本年1月、在京中国大使館からの連絡によれば、中国側は当該民有地取得のための売買契約を締結済みであると承知しています」

 と回答をした。しかし、この問題を追及する自民党の小野寺五典衆院議員は、新潟の土地売却を阻止するチャンスはまだゼロではないと話す。

「日本には外国人土地法という、土地取得に制限をかける法律があります。しかし、この法律に基づいた政令が規定されていないため宙ぶらりんになっているのです。政令で定めれば中国による土地取得を阻止できるのですから、一刻も早く法整備すべきでしょう」

※週刊ポスト2012年6月15日号

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