芸能

AKBへの投票は国政選挙に行った国民に限定すべきとの改正案

AKB48総選挙の改正案を提案する作家・井沢元彦氏

 6月6日に開催されたAKB48の選抜総選挙を、『週刊ポスト』誌上で「逆説の日本史」連載中の作家・井沢元彦氏がリポートする。題して「逆説のAKB48 総選挙は下克上である」。

 * * *
 AKB48の第4回選抜総選挙に行ってきた。

「なんでボクに取材させるの?」と編集長に聞くと、「いやー、AKBをまったく知らないような人が行った方が面白いからですよ。井沢さん、AKBのメンバーなんて1人も分からないでしょ」とのたまう。

 失礼な、前田敦子ぐらいは知ってるし、他にも2、3人ぐらいは顔と名前が一致する。そもそも仕掛人の秋元康氏とは親交もある。

 でも、なかなか面白そうなので行くことにした。いざ行ってみると会場の熱気に圧倒された。いや、すごいね、日本はこれだけ元気なのかとあらためて驚いた。その割には会場の聴衆のマナーも悪くない。

 それにしてもあらためて思ったのはAKBグループという一つのシステムの、考えぬかれた構造だ。トップのメンバーを固定せずに総選挙ですべてを決める。今回の選挙でも実例があったが、若手の研究生が先輩を抜いて上のグループに入ることもできる。なんというガチンコ勝負だろう。こんな競争社会見たことがない。戦国時代の下克上のようだ。

 一方、有権者として参加するファンは、自分の応援するアイドルを、自分が汗水たらして働いて得たカネで応援することができる。CDを買えば買うほど投票権が手に入るからだ。1人1票ではないのである。

 相撲取りを応援するタニマチは相当のお金持ちでないとムリだが、これなら貧乏学生(今や死語か)でも、充分にタニマチ気分を味わうことができる。これはタニマチの大衆化だ。やっぱり秋元康は天才なのだろう。このシステムなら世界を相手に商売できる。

 さらに言うならば、会場のこのエネルギーを日本のために使えないか。例えばボランティア活動した若者により多くの投票権を与えるとか。本物の国政選挙に行ってちゃんと国民の義務を果たした人しかAKB総選挙の投票権はないことにするとか(今議論されている通り、選挙権は18歳まで引き下げればいい)。投票率も劇的に上がって政界も変わるに違いない。

 いや、あながち冗談ではない。「AKBが動けば社会も動く(この日の司会者の徳光和夫アナの言葉)」なのだから。

撮影■藤岡雅樹

※週刊ポスト2012年6月22日号

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン