野田佳彦・首相は内閣改造で自民党の要求通りに問責2閣僚を更迭した。「4年間は消費税を上げない」というマニフェスト(政権公約)の遵守を主張する小沢一郎・元代表とは妥協しないと自民党にすり寄り、マニフェスト破りの増税に向けて突き進んでいる。
同じく、岡田克也・副総理の詐欺師ぶりも許しがたい。鳩山内閣の外相、菅政権では幹事長、野田内閣では副総理と三代の政権を中枢で担いながら、幹事長時代には自民、公明両党と子ども手当や高速道路無料化を撤回する三党合意を結んで「マニフェスト破棄」への方針転換を主導した。
本誌は前号で、岡田氏が総選挙の街頭演説でマニフェストのパンフレットを振りかざし、
「ぜひ読んで下さい。朝早くから、それぞれの問題について議員同士が毎日議論して、現場で苦労しているみなさんの話を聞きながら練り上げてきた政策の集大成です。役人がつくったものなんてひとつもありません。私たちの魂がこもったマニフェストなんです」
と語る「魂のマニフェスト発言」を報じた。そのくせマニフェストを自ら反故にし、責任転嫁までする。
昨年2月24日には、当時の菅首相が国会で月額2万6000円という子ども手当の金額(満額)の根拠を問われ、「小沢代表のころ子ども手当の案が出てきて、2万6000円という額が高くてびっくりした」と批判した。つまり子ども手当は小沢主導でつくった政策で自分は関与していなかったといいたいようだが、驚くことに岡田氏もその日の会見で、「私もびっくりした」と足並みを揃えたのである。
岡田氏はマニフェストを発表した当時の幹事長だ。毎日議論して「魂のマニフェスト」をつくって、いざ実行となると指導力のなさで何もできず、最後は「あれは小沢がつくった」と責任転嫁とは情けない。
しかも、その翌日の民主党神奈川県連のパーティで挨拶に立った岡田氏に出席者から一斉に「マニフェストを守れ!」と野次が飛ぶと、こう反論した。
「誰が見てもできないことを、いつまでもできるというのは、まさしく国民に対する不正直だと思います」
「誰が見てもできない」のは「あんたらがやってる限りは」という条件がつく。
つい最近も哀れな言動を見せた。6月2日の中央大学での講演で学生から、「マニフェストで4年間は消費税の増税はしないといっていた」と批判されると、
「『けしからん』というなら、次の選挙でそういう投票行動をしてもらえばいい」
全国の有権者、特に三重3区の選挙民は、ここまで露骨にケンカを売られたことを次の選挙まで決して忘れてはならない。
※週刊ポスト2012年6月22日号