性的にアクティブでない“草食男子”が増えているが、生物学に考えるとどういうことなのだろうか? 『ホンマでっか!?TV』でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が解説する。
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女性は結婚するまで、性的にアクティブでないほうがその後の人生にプラスに働くことがわかっています。アメリカの研究では、18才以前に生殖行動=セックスを体験した女子の場合、高校中退や大学に行かない確率が2倍程高まる結果が出ています。また、10代での妊娠は、母親にも子供にも精神的、肉体的にマイナスになる可能性が高いとされています。
生物学的・社会学的に考えて、ヒトの女性はもともと、思春期に生殖活動をせず、20才以降に「“良い遺伝子”を持つ男子」と結婚し、30才ごろまでに子供をつくることが望ましいのです。
この「良い遺伝子(good genes)」は、準学術用語で、女性はgood genesを持つ男性に惹かれ、生殖活動をするということもわかっています。
“草食”、つまり生殖に興味がないこと自体、学術的にいうとgood genesを持っていないことを意味します。
ただ、good genesを持っていても、幼少期の環境や昨今の社会状況の影響で「生殖への興味が失せてしまった」という場合もあり、それはまさに「もったいない」事態といえます。
ある集団(例えば日本)で、good genesそのものが急増したり急減したりすることはあり得ませんから、good genesを持っていても生殖に興味がない男子が増加している原因は、環境にあるとみなすのが妥当です。
good genesを持ち、かつ、生殖に積極的な男性は当然、多数実在します。進化的に考えると、そのような男性が複数の女性と生殖活動をして子供を残す形態(一夫多妻制)のほうが実は望ましいといえるのですが、それは現代社会の多くの地域において、非倫理的なこととされています。当然の結果として、「草食系男子」の増加は人口の減少をもたらし、日本を衰退に導く可能性が高いのです。
※女性セブン2012年6月21日号