米アップルの好調が止まらない。『iPhone』や『iPad』の世界的大ヒットにより、4月24日に発表された今年1~3月期決算は、純利益が前年同期比95%増を記録。株価は直近高値の600ドル超えを再び目指す展開を見せており、時価総額は6000億ドル(約48兆円)と世界最大規模を誇る。
そんな世界最強のモンスター銘柄「アップル株」は、今後も成長を続けるのか。海外投資のカリスマ・グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が分析する――。
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アップルは、この先も株価が上昇し続けるかどうか。すでに米国のアナリストの間では「株価1000ドル説」まで飛び交っているが、その行方を占ううえでは同社の配当戦略が大きなカギを握る。
同社はここ最近まで配当を出すという株主還元策をとってこなかった。成長株である間は、毎年上がる利益の一部を配当に回すよりも新規事業に投じて成功した方が株主のためになるという考え方である。これはかつて1990年代に株価100倍を達成したマイクロソフトやスターバックス・コーヒーなどと同様の戦略であり、急成長を遂げている間は理に適っているといえる。
ところが、3月19日に今年7~9月期に17年ぶりに配当を実施すると発表。これによって、マイクロソフトなどと同様、成長株から安定株へと移行する可能性が出始めている。
ただし、アップルは決して成長戦略を捨てているわけではないだろう。実際、次世代スマートテレビの投入も噂されており、さらにそれに続く「次の山」も見えている。
それは、たとえば車や家まで端末でつながり、従来とはまったく異なる使い方が可能になるスマートカーやスマートハウスといった取り組みだったりするかもしれない。
いずれにしろ、これまで同社が手がけてきたライフスタイル革命が私たちの社会をどんどん進化させていくことは間違いなく、そこでアップルの役割が高まるのも想像に難くない。
そう考えていくと、株価的には、このまま安定株路線に向かうのなら、市場に連動しながら緩やかな上昇をしつつ年3%程度の配当が期待できるだろうし、さらなる成長の加速が見られれば、1000ドル超えはもちろん、ここから3~5倍もの上昇があってもおかしくない。
どちらの道へ進むにせよ、アップルの投資妙味が依然として高いのは、間違いないだろう。
※マネーポスト2012年夏号