中国政府の対台湾政策の最高機関である中国国務院台湾事務弁公室の葉克冬・副主任が先月末、台湾首府大学で開かれた中台大学教育交流会で、中国人留学生に「台湾の学生とどんどん恋愛して、台湾の思想や文化を理解してください」と激励したことが台湾内で話題になっている。「大陸の留学生に台湾人と恋愛し結婚させて、間接的に台湾を侵略するつもりか」との声も出ている。
台湾各紙によると、この発言は葉副主任が台湾南部の8大学に留学する中国人学生20人と座談会を開いた際飛び出したもの。
葉副主任は、さらに「今後、両岸(中台)間の婚姻はこうした学生時代の交流がきっかけになるケースが増えるだろう」と述べて、中台の学生交流によって結婚するカップルが生まれることに期待感を示している。
台湾の大学が中国本土学生に門戸を開いたのは昨年9月でまだ始まったばかり。現在の中国人学生が台湾留学第1期生となる。葉副主任としては、「台湾文化の理解を深めるためならば恋愛もいいのではないか」という意味を込めて激励したとみられる。
だが、台湾のネット上では「留学は中国共産党の台湾侵略政策の一環。結婚させて、大陸からどんどん親族を呼び寄せて、台湾を占領してしまうつもりか」とか、「結婚させて、台湾での大陸人の人口を増やせば、軍事費もかからず安く台湾を手中にできるので一石二鳥か」などとの辛らつな批判も。
中国国営の新華通信社によると、昨年の中台間の結婚は1万1000組で、結婚や親族訪問などの社会交流で、台湾を訪問した中国人は延べ7万5000人だった。昨年、観光目的で来台した中国人は延べ131万9000人だったので、結婚や親族交流関連での台湾訪問は全体の5%にも満たないのが実情だ。