東電国有化が実現すれば、国民は東電の損害賠償を電気料金の値上げによって負担させられるか、さもなければ税金で負担させられることになる。だが、値下げする方法はある、と大前研一氏は指摘する。以下は、大前氏の解説だ。
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政府は7月に東電に1兆円出資して株主総会の議決権の50%超を握り、東電を「実質国有化」することになった。
東電国有化は、どう転んでも国民の負担が増える仕組みになっている。国民は東電の損害賠償を電気料金の値上げによって負担させられるか、さもなければ税金で負担させられるのだ。これぞ野田内閣の「社会保障と税の一体改革」ならぬ“社会負担と税の一体改革”にほかならない。
しかも、さらなる電気料金の値上げ要因がある。太陽光発電など再生可能エネルギーのフィードイン・タリフ(固定価格買取制度)だ。その価格が1kWh当たり40円くらいとすれば、現在の発電コストの10円未満に比べて4倍になる。
それを電力会社に買い取り義務があるという制度を作ってしまったので、今後、電気料金は自動的に値上がりする。
一方、値下げする方法は何かといえば、電力会社の大幅なリストラ、そして再生可能エネルギー以外の参入の自由化だ。たとえば、カタールなど資源国の巨大エネルギー会社による日本国内での発電を自由化すればよい。
そうすれば、日本の電気料金は一気に安くなり、電力不足も解消される。しかし、そういう話はまだ議題にも上っていない。
※週刊ポスト2012年6月29日号