「オジャマモン」を覚えているだろうか。耐震偽装事件で話題となり、過激な発言や派手な私生活で世間の大バッシングを浴びたマンション販売会社ヒューザー(破産)の元社長、小嶋進氏(59)である。7年前、“天下の大悪人”としてメディアと国会を騒がせた男は、今では「清掃人」となって地道な日々を送っている。その小嶋氏が当時の知られざる物語を初めて明かした。
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顧客と商談しているその顔は、当時よりほっそりしたように見える。小嶋進氏は現在、弟が経営する都内の不動産管理会社を手伝い、マンションの清掃などを行なっている。かつて純資産40億円を誇った会社の元社長は当時をこう振り返る。
「40億円なんて年間1兆円稼ぐトヨタと比べればゴミみたいなものだからね、いまとなってはさ。とにかくイメージが悪かったよね。最初からこういう顔だから、これは恨んでもしょうがない(笑い)。こんな顔と性格も、自分ではいいと思って生きてきたからね。事件が起きて初めて世間の自分を見る目に気づいたよ(笑い)。
決定的だったのは、『オジャマモン』という呼び名。耐震偽装が発覚した直後(2005年11月)に、耐震偽装マンションの住民説明会があった。そのとき報道陣が『うちのスタジオに来てくれるのですか』とかいうから、『どこにでも行きますよ。私は小嶋だからオジャマモンと呼んでください』といったんです。ホリエモンになぞらえたんだけど、私は東大出身でもないし、高卒で東北訛りもあるし、その程度だよというつもりで。
そうしたら翌日から、『オジャマモン』という言葉だけ一人歩きした。私なりの記者へのサービス精神だったんだけど、それが裏目に出てしまった。まァ、もっと悪いことやったという自覚があれば、そんなふざけた言葉は出てこないよね。その意味では思慮が足りなかった」
※週刊ポスト2012年7月6日号