今、背の高いコンパクトカーで、スライドドア付のクルマ“プチバン”が好調だという。ホンダのNBOXやスズキのソリオなどのほか、トヨタも夏にこのカテゴリのクルマを投入することが報じられている。
燃費が良く、室内は広くゆったりして5人以上乗れる一方で小回りがきく。さらに、ドアの開け閉めがしやすいなど、コンパクトカーとミニバンのいいとこ取りをしたプチバンは、日本の交通事情やコスパ意識に敏感、かつ高性能なものを求める日本人が欲しがるカテゴリともいえるが、「おひとりさま」を広めたマーケッター牛窪恵さんに、このプチバン人気の背景を聞いてみた。
* * *
今、若い世代や家族を中心に、ハレとケのメリハリ消費や「コスパ(コストパフォーマンス)」に注目する男女が増えています。
まず、家族消費。長い休日や記念日などハレのシーンでは、二世代、三世代も含めた多人数で、家族の思い出を刻みたい。でもふだん、ケのシーンでは、コスパや使い勝手を重視して、安・近・楽にドライブしたい。その双方の欲求を満たせるのが“プチバン”なのでしょう。
また、いまの20~30代の女性たちは、私が「三平女子」と呼ぶように、消費にも未来の夫にも「三高」でなく「三平(平凡、平均、平穏)」を求めます。たとえそのモノ自身や学歴など、ブランドネームが高くても、つねに相手が「上から目線」で、自分が気を遣いすぎるのはイヤ。
ハレの場でワクワクしたい一方で、ふだん(ケ)は安心・安全で背伸びせずに付き合えて、ストレスフリーでいられるモノや男性のほうがいい。その意味で、ふだん使いにも便利な“プチバン”は、燃費も小回りも安全性も、どの要素もバランスよく兼ね備えた、理想のパートナー。子世代にも“使いやすさ”とコスパ、そしてバランス感覚で選ばれているのだと思います。