ライフ

落合信彦氏「今の若者は幸福」との主張はブラック・ジョーク

 日本がバブル景気の中にあった時代、『狼たちへの伝言』を上梓して若者を厳しく叱咤激励した落合信彦氏。氏が、現代の若者に、再び喝を入れる。

 * * *
 若者は社会を映す鏡だ。引きこもりは増え、内向き志向は止まらない。就職先の一番人気は安定の得られる公務員で、転職希望者や留学希望者は減少の一途だという。自分が「安全な柵の中」だと考える範囲から出て行こうとしないのである。

 決して彼らに実力がないわけではない。例外的に精一杯生きている者はいるが、多くの者に足りないのは実力ではなく、やる気やエネルギーだ。若さとは大胆さであり、冒険心である。そして、たとえ失敗してももう一度飛び上がれる弾力性だ。それらが何一つ感じられないのが、私は悲しい。

 さらに最近では、若者を批判し鼓舞する意見に対し、「開き直り」と取れるような態度や反論が横行している。

 例えば、政府によるある調査では、20代の70%以上が現在の生活について「満足している」と回答している。過去40年で最高の数字だというが、日本の現状を考えれば、ブラック・ジョークにしか聞こえない。しかも、それをもって「今の若者は幸福だ」などという主張をし始める輩までいる。日本人として、日本の状況を憂え、力を振り絞って現実を変えようとする気概など、微塵も見えてこない。

 私が敬愛するロバート・ケネディはこう言っていた。

「若さとは、精神の問題である」

 大胆さや冒険心を失わなければ、年齢を重ねたとしても、本当の意味での若さは失われない。だが、今の日本の若い世代はその逆だ。年齢は重ねていないが、リスクは取りたくない。それどころか、「今のままでいい」「満足している」などと、堂々と開き直る。

※SAPIO2012年7月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
大型特番に次々と出演する明石家さんま
《大型特番の切り札で連続出演》明石家さんまの現在地 日テレ“春のキーマン”に指名、今年70歳でもオファー続く理由
NEWSポストセブン
NewJeans「活動休止」の背景とは(時事通信フォト)
NewJeansはなぜ「活動休止」に追い込まれたのか? 弁護士が語る韓国芸能事務所の「解除できない契約」と日韓での違い
週刊ポスト
昨年10月の近畿大会1回戦で滋賀学園に敗れ、6年ぶりに選抜出場を逃した大阪桐蔭ナイン(産経新聞社)
大阪桐蔭「一強」時代についに“翳り”が? 激戦区でライバルの大阪学院・辻盛監督、履正社の岡田元監督の評価「正直、怖さはないです」「これまで頭を越えていた打球が捕られたりも」
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん(Instagramより)
《美女インフルエンサーが血まみれで発見》家族が「“性奴隷”にされた」可能性を危惧するドバイ“人身売買パーティー”とは「女性の口に排泄」「約750万円の高額報酬」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
悠仁さまの通学手段はどうなるのか(時事通信フォト)
《悠仁さまが筑波大学に入学》宮内庁が購入予定の新公用車について「悠仁親王殿下の御用に供するためのものではありません」と全否定する事情
週刊ポスト
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン