再稼働に揺れる大飯原発から約80km、兵庫県丹波市春日町・山王地区は人口たった42人、平均年齢が60才を超える典型的な過疎地域だが、今年3月末、川沿いの空き地に216枚のパネルを並べ、太陽光発電所をスタートさせ、俄然注目されつつある。
広がりを見せる地域ぐるみの太陽光発電の動きに、政府もバックアップの姿勢を見せている。経済産業省は、7月1日より施行される再生可能エネルギーの買い取り価格を発表した。
これによると、従来1kWh発電するごとに40円で買い取られていたのが、7月からは2円アップの42円に引き上げられる。さらに、その価格で買い取ってもらえる期間も20年間固定と長く設定された。これで太陽光発電所の建設に弾みがつくものと思われる。
大阪府市エネルギー戦略会議委員で、立命館大学教授の大島堅一さんが指摘する。
「山王地区の取り組みは、実に素晴らしいと思います。太陽光発電は、空いてるスペースを使えばどこでもできるから、ハードルはそんなに高くありません。例えば日本全体の可能なところ全てに、ソーラーパネルを敷き詰めれば、3600億kWhの電力を生むことができるわけです。この数字は日本にある全原発の発電量、3000億kWhに相当しますから、その可能性は果てしなく広く、無視なんてできなくなります」
ソーラーパネルの一般家庭での設置費用は、約200万円と決して安くはない。しかし、うまく利用すれば、電気代を月に3000円ほど節約できるうえ、電力会社への売電により、月2万円ほどの収入に。つまり、200万円規模の初期費用も、10年ほどで回収可能ということになる。
※女性セブン2012年7月12日号