かつてプラモデル作りに熱中した中高年世代が、再びその魅力にハマる“出戻り現象”がいま起きているという。
歴史を振り返れば、1968年9月、プラモデルの歴史を変えるシリーズが登場する。タミヤ1/35「ミリタリーミニチュア(MM)」シリーズ。それまではモーターを使う動くプラモデルが主流だったが、精巧な情景模型を組み合わせられるジオラマという世界が誕生する。以来、その魅力にとりつかれている愛好家は数多い。
会社勤務のかたわら、モデラーズクラブ「35Panzers」を主宰する高島浩さん(50)が話す。
「サビを浮き出させたり、泥の質感を出す“ウエザリング”というテクニックを駆使してリアルに汚れた感じを出します。その材料探しのためにも、結構な時間を割いています。同居している義父が戦争を体験しているので、『ボケ防止にもなるし、昔話をしながら一緒に作りましょう』と誘っているんです。老若男女、誰でもできるのがプラモデルの大きな魅力です」
キットに入っている車両と人形以外は、資料を調べて構想を練り、土の色や当時の建物も忠実に再現する。徹底した時代考証と緻密な作業、遊び心が入り交じりジオラマに魂が吹き込まれるのだ。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2012年7月13日号