「今の若者は幸福だ」と若者が主張するなど、“開き直り”が横行していると指摘するのは作家の落合信彦氏だ。氏はアイドルの総選挙に熱狂する若者に対し、異議を唱えている。
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政治家たちの体たらくを見ても若者から怒りの表明はなされず、国政の総選挙はそっちのけで、“アイドルの総選挙”などというものに有り金を注ぎ込む。しかも、自分はどれくらいカネをアイドルに注ぎ込んだかを喜々として話し、奇妙な衣装を身につけたまま街中を歩き回る。
これも完全な開き直りであり、「恥ずかしい」という観念の喪失だ。自分の周りにある狭い“ムラ社会”しか視界に入っていないからこその言動である。こういった連中は、海外のビジネスマンたちの目には、理解不能の生き物として奇異に映っている。
もちろん、若者が社会を映す鏡である以上、問題はその上の世代にある。
例えば、お笑い芸人による不正受給まがいの行為で注目されている「生活保護」の問題は象徴的だ。現在、生活保護受給者は200万人を超えており、この20年で倍以上に増えた。果たしてその200万人の中のどれだけが、本当に支援が必要なのか、甚だ疑問である。
※SAPIO2012年7月18日号