お笑いコンビ・次長課長の河本準一(37才)の母親が受給していたことで注目を集めた生活保護問題だが、問題発覚後の今年6月、京都・舞鶴市で、所持金600円という33才の女性が、生活保護申請を拒否される事例が発生した。
女性は昨年離婚。パートをしながら、5~11才の子供3人と暮らしてきた。しかし、今年2月、子供が相次いで熱を出して看病のために仕事を休むと、職場から「辞めてほしい」といわれ失職。新しい職が見つからず、所持金も底をつき、6月に舞鶴市役所西支所を訪ねたが、生活保護の申請書すらもらえなかったという。
女性を支援しているNPO法人『京都POSSE』の川久保尭弘さんがこう話す。
「女性は、家賃や光熱費も滞納し、冷蔵庫や洗濯機もないギリギリの生活でした。しかし、窓口の担当者は『出せないものは出せない』の一点張りだったんです」
なぜ、舞鶴市の担当者は頑なに拒んだのか。川久保さんは次のように話す。
「女性は妊娠中で、胎児の父親は、離婚した男性とは別の男性でした。扶養義務が強化されるなかで、『胎児の父親の連絡先が必要』『生活保護の前にまずその男性からの扶養を』というのが担当者の主張だったんです。しかし、女性は事情があってこの男性とは連絡がとれない状態ですし、そもそもその男性に扶養義務はありません」
このとき、窓口の担当者は、「河本さんの件もあって、市民の声や目も厳しくなっているから、安易に出すことはできない」ともいっていたという。
その後、川久保さんが京都府や厚労省に訴えたこともあり、女性は、最終的に舞鶴市から生活保護の申請を受理された。川久保さんはこういう。
「“生活保護の申請が受け付けてもらえない”という相談が激増しています。これまで生活保護の相談は年間20件に満たなかったのですが、本年度は4月からの3か月ですでに20件を超えているんです。(生活保護受給者を支援している)私たちがバッシングを受けることも増えました。不正受給問題はきちんと議論されるべきですが、なにからなにまで厳しくなってしまうのは本末転倒です」
※女性セブン2012年7月19日号