資格試験合格や外国語習得を目指しiPadに学習アプリをダウンロードして、通勤途中などの時間活用で“自分磨き”をするビジネスマンを見かけるが、大人だけでなく子供向けの教育アプリもアツい。
iPadの子供向け知育アプリは数多くあり、画面が大きくて見やすく、タッチすることで文字を書けたり、色を塗れたりといった特徴がある。文字を覚えるためにノートに繰り返し鉛筆書きをするのも、今はアプリで習得できる。指でなぞって書き方練習ができる『ひらがな:こども ゆびドリル』は、書き順も覚えられて、ドリルを全問正解すると金メダルがもらえるアプリだ。対象は3~5才児だが、次のステップとして『小学1年かんじ:ゆびドリル』などが用意されている。
NHKの教育番組『えいごであそぼ』のキャラクターと遊びながら学べるアプリ『えいごであそぼプラネット』は、iPadトップチャート教育部門1位を獲得するなど、人気が高い。公式サイトでは、4才児がiPadをフリック(タッチパネルをスライドする操作)して、絵を見ながら聞こえる英単語の発声を夢中でまねしている動画がアップされている。日本人の子でも、ネイティブ並みの英語力がつくのではと期待したくなる。
「子供の勉強意欲には良さそうだけど、家にiPadがないし」という人や、すでにiPadを持っていても、仕事で日中持ち歩いていたり、“自分が使っているデータを間違って子供がいたずらしてしまうと困る”という人もいるだろう。
ちなみに現在、ソフトバンクモバイルでは9月30日まで、iPadの端末価格が実質無料になるキャンペーンを展開中だ。携帯電話などの既存契約の有無によって、適用されるプランは異なるが、iPad端末の購入価格が実質0円という条件は一緒。子供の学習用にもう1台……といった選択も、今なら高いハードルではなさそうだ。
実際に、子供がiPadの知育アプリを使っているという、親の意見を聞いてみた。
「子供向けのアプリは絵がかわいいですね。子供に『これ何?』と聞かれて、答えながらいっしょにしりとりをしています。週末しか子供と遊べないから、iPadが親子の絆づくりのサポートになっていますね」と話すのは、3児の父親で30才のサラリーマン。平日は帰宅するとすでに子供は寝ているが、休みの日には子供をひざに乗せ、一緒にiPadで「勉強」する。
5才になったばかりの子供がハマっているのは『ワオっち!いっしょにあそぼ』の「おなかめいろ」と「おうちにかえろうしりとり」だ。前者は、上手に迷路を抜けるとおならやうんちが出るごほうびがあり、後者は子供と親が交互にしりとりに答えていく。音が出たり、絵が動くので、正解したときの演出も派手。大人でも達成感があり、子供も共感しやすいという。
「ゲームタイプの教育は、以前から幼児教室でも取り入れてきましたが、タブレットやスマホがブームになったことで、自宅で学ぶ機会を提供できると考えました。
小さい子供は、説明は理解できないのですが、タブレットなら、見て、動いて、聞こえて、指でタッチと、直感的に操作できます。そして最後は楽しい演出があり、学ぶことが喜びにつながります」と語るのは、『ワオっち!』を開発したワオ・コーポレーション幼児教育開発推進室・鶴谷要子さん。学科成績の向上だけではなく、適応能力やコミュニケーション能力の育成を踏まえてアプリを開発しているという。
「今の子供たちは情報社会を生きることになるので、いい形で情報端末と触れ合う機会を作ることは大切です。また情報端末の利用は、お子さんの成長を数値的に見やすいことから、親御さんも安心感を持ちやすいんです。
『頑張ったね』といった声掛けなど、コミュニケーションしながらお子さんがリラックスして学べるチャンスこそが、長い目で見て成長につながると思います」(鶴谷さん)