6月29日夕方に開かれた「反原発デモ」の参加人数は主催者発表が「15万~20万人」、警察発表が「1万7000人」と大きな隔たりがあるものの、「政治的無関心」の時代が長く続いたといわれる日本人の大きな変化を示したことは間違いないだろう。
そうしたデモの広がりを政府側が恐れているのは間違いない。政権幹部の一人は、
「このままでは原発問題が消費税や年金問題とも結びつき、全国的な運動になりかねない。労働組合や特定の政治団体が主催する“儀式的”なデモならば気にする必要はないが、今回は日増しに参加者が増えているうえに、相手が不特定多数だから(デモを収束させるための)交渉もできない」
そういって苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。だが、手を拱いて見ているばかりではないようだ。公安筋からはこんな声が聞こえてくる。
「抗議行動を抑える方法はある。カッとなりそうな者を挑発して、暴力的な行動を起こさせればいい。そうなれば、一般の参加者は普通のサラリーマンや学生だから“一緒にされたくない”と冷めていくはずだ。投げられたペットボトルを“火炎瓶の可能性がある”とマスコミにリークすることだって可能だ」
この点はデモ団体側も危惧している。「“暴力的な行為は絶対にしないように”と注意していますが、ただ“騒ぎたい”といって酒を飲んで参加する人もいます。何より、参加者の名前もわからないデモですから、(鎮圧側が)確信犯的に暴動を起こす人を紛れ込ませたら防ぎようがない」(主催団体関係者)
※週刊ポスト2012年7月20・27日号