日本で古くから食べられてきた伝統食には、健康長寿を目指すための栄養素が詰まっている。これらを日常の食生活に採り入れれば、健康長寿への道はグッと近づくはずだ。
伝統食の一つ目は「発酵食品」である。味噌や納豆、酢、漬け物などの発酵食品には、「栄養素が分解されて吸収しやすくなる」「分解された栄養素が新たな効能をもたらす」「微生物が新たな栄養素を作リ出す」「食品のもつ毒性を消す」という4つの効能がある。
例えば、味噌や納豆では、大豆のタンパク質が分解されて吸収しやすくなり、発酵の過程で大豆にはないペプチドやビタミンKといった栄養素ができ、コレステロールの低下や中性脂肪の抑制などの効能が生まれる。
また、発酵食品は発酵の過程で整腸作用をもたらす乳酸菌が増殖する。チーズやヨーグルトにも乳酸菌が含まれるが、それらは動物性乳酸菌。味噌や納豆に含まれる植物性乳酸菌のほうが整腸作用が高く、アレルギー反応を抑える働きを持っている。
二つ目の食品は山芋やオクラ、納豆、モロヘイヤ、ワカメやもずくなどの「ネバネバヌルヌル食品」だ。慢性的な高血糖は糖尿病につながるが、ネバネバヌルヌル食品を他の食品と一緒にとると、糖質の吸収スピードを下げ、血糖値の急上昇を防ぐ効果がある。また、ネバネバヌルヌル成分は、腸内で中性脂肪や重金属を吸着して体外に排出する機能もある。
三つ目の食品は、玄米や五穀米、ゴマやあわ、小豆などの「雑穀類」。穀物など植物の種には、「発芽に必要な栄養」と、「栄養をエネルギーに変えるための酵素」が含まれている。
ところが、米でも小麦でも精製してしまうと、燃焼させる酵素が失われてしまうので、肥満や栄養不足につながるのだ。だから、未精製の玄米や全粒粉などの雑穀類のほうが、健康長寿には有効なのである。
※週刊ポスト2012年7月20・27日号