7月に入って、全国各地で真夏日が続き、梅雨明け前から暑い夏が到来している。気象庁発表の3か月予報でも、この夏は平年よりも気温が高くなると予想。これからは、連日冷たい飲み物が欠かせなくなるところだが、その清涼飲料のラインナップにちょっとした“異変”が生じている。
飲料メーカー各社が、例年にも増して、炭酸飲料の新製品を数多く発売しているのだ。しかも、これまで炭酸との相性があまりよくないと考えられていたソフトドリンクに炭酸を入れたものが目立つ。
例えば、リチャード・ギアが“寅さん”に扮して登場するCMで話題となったサントリーの『オランジーナ』。フランスの国民的な清涼飲料で、オレンジ他の柑橘系果物の果汁が入っている。これまで、果汁入り炭酸飲料は酸味が強くなるとして日本ではあまり商品化されてこなかったが、コカ・コーラの新製品『シュウェップスブリティッシュレモントニック』同様、売れ行きは好調となっている。
特定保健用食品飲料でも炭酸入りが増えている。モデルの山本美月が「もったいないその時間」といって登場するCMが大人気の伊藤園『スタイリー スパークリング』は中性脂肪を減らす効果が。また、キリンの『メッツ コーラ』は、食事の際の脂肪吸収を抑えるコーラ系飲料だ。果汁系とは違って、強めの炭酸が入っており、飲んだ時に受ける刺激は強めに仕上がっている。
さらに、コーヒーや紅茶などに炭酸を入れたタイプも発売される。サントリーの『リプトン リモーネスパークル』と『エスプレッソーダ』(7月31日発売予定)。製品名の通り、レモンティーとエスプレッソにそれぞれ炭酸を入れた飲料となっている。
こうしたニュータイプの炭酸飲料が続々と登場する背景には、節電対策の影響もあり、メーカー側に炭酸飲料の需要が伸びるとの思惑があるようだ。大手飲料メーカーの社員はこう語る。
「炭酸飲料は他のソフトドリンクと比べて、飲んだときの清涼感が強くなります。暑い屋外はもとより、冷房温度をあまり下げられないオフィスなどでも、炭酸飲料を飲む人が増えると期待しています」
加えて技術の革新もある。前出・大手飲料メーカー社員が語る。
「従来、果汁入り飲料やコーヒー系飲料は、缶やペットボトルに充填、密封した段階で、容器などの殺菌のために熱処理を加えていました。しかし、今年に入って導入が進んだ無菌充填という新技術によって、熱処理の時間を大幅に短縮できるようになりました。炭酸も無菌充填できるため、さまざまなソフトドリンクに炭酸を入れることが可能となったのです」