地下鉄サリン事件の殺人容疑などで逮捕された元オウム真理教信者・高橋克也容疑者を追い詰めたのが、公開された防犯・監視カメラの映像だった。しかしこうした技術は何も防犯だけに利用されているわけではない。どんなジャンルで活用が進んでいるのか、ジャーナリストの菊地雅之氏がレポートする。
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こうしたジャンルで先進的なのは軍隊だ。無人偵察機というカテゴリーはよく知られるようになったが、米軍では無人機が捉えた情報や画像を効率良く兵士に提供するための数々の実験が行なわれている。
そこでツールとなるのが、アンドロイド携帯である。兵士一人ひとりが持ち運べるし、司令部側も何万人が対象であろうとも一斉送信が簡単にできる。また逆に、兵士がアンドロイド携帯で撮影した映像を司令部に送る双方向のやりとりができる。すでにアフガニスタンで使われており、兵士が集団で立ち止まってスマートフォンを操作している映像には驚かされた。
防犯カメラの映像から、異常があると判断した場合には携帯電話でその映像が見られるシステムはすでに民間のメーカーでも開発されている。
ということは、指名手配中の犯人がどこかの防犯カメラに捉えられ、顔認証システムで一致と判断されれば、日本中の警察官のスマートフォンで警報が鳴り、その場所に急行するという時代も来るのかもしれない。
それには、スタンドアローン(他の機器と接続していない)の防犯カメラをネットワークに組み込む必要や、映像規格の統一などの必要があるが、実際、警視庁では「3次元顔形状データベース自動照合システム」として実証実験を行なっており、2020年までに実行するプログラム(東京都中期計画「2020年の東京」)を策定している。その未来は、そう遠くない。
※SAPIO2012年7月18日号