小沢一郎・元民主党代表が民主党を飛び出して結成した新党「国民の生活が第一」。マスコミでは、「もう小沢は終わった」との論調も多い。だが、小沢氏はこれまで選挙では無類の強さを発揮してきた。
新進党分裂後、小沢氏を中心に結党した自由党は2000年に分裂、衆参50人の所属議員のうち半数以上が保守党を結成、小沢氏に従ったのはわずか24人(衆院18人)にすぎず、現在の「国民の生活が第一」よりも規模の小さい“ミニ政党”に転落した。その年の総選挙で、小沢自由党は「日本一新」を掲げて比例で660万票を獲得して衆院22議席に躍進した。
しかし、次の選挙では小沢氏にこれまでにない障害が立ちはだかっている。資金不足と、小沢批判が綴られた「夫人の手紙」問題である。
選挙資金について、旧自由党の政治団体「改革国民会議」の代表を務める平野貞夫・元参院議員はこう語る。
「『新党結成には議員1人1億円かかる』というが、それは自民党政権時代の発想だ。反原発、反増税を掲げる新党で、カネがかかると考える方がおかしい」
一方、夫人の手紙は地元後援者などに広く送られ、「小沢王国」も動揺し、小沢氏本人さえも苦戦必至という報道もある。
地元の反応はどうなのか。水沢の古い後援者がいう。
「和子夫人はもう10数年前から来なくなってね。手紙も最初はたまげたけど、手書きでなくコピーが別々の郵便局の消印で1人に何通も送られたり、差出人がとうの昔に亡くなった人だったりと、支持者はあれはおかしいなと思っている。自民党を離党したときから小沢への悪口には慣れているからね。若い人は知らないが、昔からの支持者は変わりませんよ」
皮肉なことに、この手紙自体、小沢氏が離党後もまだ政治的影響力を失ってはおらず、民自公の増税連合にとって脅威の存在であり続けていることの証左でもある。
※週刊ポスト2012年8月3日号