いよいよ迫るロンドン五輪の開幕。しかしながら、開催地ロンドンの盛り上がりはイマイチ。期間中のホテルは空室だらけで、サッカーチケットは50万枚も販売を断念したという。英国に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんはこう説明する。
「もちろん街には参加国の国旗が掲げられていたり、記念グッズが売られたりしていますが、関心がない人が多いですね。地元タイムズ紙のアンケートによると、55%の人が関心がないと答えていました」
ホテルが空室だらけの理由を多賀さんがこう説明する。
「ロンドン市内のホテルは期間中、通常よりも3~4倍、高いところでは10倍も宿泊料を高く設定していたんです。五輪開催地で宿泊料金が高くなるのはよくあること。ただしその上げ幅が重要。2008年の北京でも、やはり10倍の設定にしたため、空室が多く出てしまいました」
五輪開催という超特大イベント直前にもかかわらず、開幕1週間を切っても予約が例年同時期の30%も少ないことに危機感を抱き、多くのホテルが宿泊料を下げたが、いまだ空室は埋まってないという。
さらに、ストライキ問題も、ロンドンから人を遠ざける理由となっている。
「ロンドンを走る主要鉄道である『ミッドランド鉄道』の組合は、8月6日から8日にストを行うことを検討しているんです。これでは、観光を兼ねてイギリスに行っても、自由に行き来できません。帰国予定日に“帰れない”可能性だってありますから、そのリスクを考えると、生観戦にこだわるという人が減ってしまっても仕方ありませんよね」(在英ジャーナリスト)
また、街に急増した警備員に地元の住民がうんざりして、逆にロンドンから脱出しているという現象も。
「2005年7月、ロンドン開催が決まった直後に50人以上の人が亡くなったロンドン同時爆破テロがありました。五輪開催中のテロに備えた物々しい警備に、恐怖を感じる市民も少なくないようです。夏休み中ということで、あえて他国までバカンスに行く人までいるみたいですよ」(ツアーコンダクター)
さらなる追い打ちをかけているのがロンドンの異常気象。4月から6月にかけての総雨量は観測史上最多で、平年の倍を記録した。また異常な冷夏で、7月21日までに20℃を超えた日はわずか6日しかなかった。
選手たちの頑張りがロンドンの熱狂を誘うことを願うばかりだ。
※女性セブン2012年8月9日号