国内

脱原発デモの主催者 オープンな雰囲気を作ることに心砕いた

 戦後最大級のデモが、3月末からほぼ毎週、首相官邸前で行われている。計17回のデモで集まった人数はのべ86万人(主催者発表)。特に大飯原発(福井県おおい町)が再稼働を始める直前の6月下旬以降は、数万人、数十万人規模に膨れ上がっている。きっかけとなったのは、ツイッターでの呼びかけだった。

 主催する「首都圏反原発連合」中心メンバーの女性でイラストレーターのミサオレッドウルフさんは、デモの盛り上がりに確かな手応えを感じている。

「原発再稼働反対、みんなただその一点のみで集まってきた人たちです。官邸前の活動は行進をしないので、私たちはデモではなく抗議活動と呼んでいるのですが、このまま増えていけば、いつかは必ず政府も無視できなくなるでしょう。再稼働を中止させるまで、私たちは抗議活動をやめるつもりはありませんよ」

 デモの雰囲気は明るくて自由だ。会場にサンバを流して踊る人もいれば、風船やシャボン玉が空中を漂うなか、おしゃれでカラフルなプラカードを掲げる参加者もいる。行進をすることもなく、官邸前にとどまり、各々が「再稼働、反対!」と叫ぶ。ただそこに立っているだけの人もいる。

「ルールなど気にしなくていい会場の空気がリピーターを増やしていった」と、放射能から逃れるための家族疎開を予定している作家の北尾トロさんは分析する。

「私も5月ごろから夫婦で、毎週交代で参加しています。魅力はとにかく“ゆるい”こと。参加スタイルが個人に委ねられていて、それぞれの個性が発揮されています」

 仕事帰りのサラリーマンがいきなりビジネスバッグからプラカードを出して「原発反対」と掲げることもあれば、OLがにこにこ顔で「飲みに行く前にちょっと来た」というノリで顔を出すことも。

「初めてデモに参加する人も本当に多くて、隣の人と『どこから来たんですか』と雑談できる感じもよかった。同じ思いを共有する人がどんどん増えていって、幸せな一体感が生まれているんです」(北尾さん)

 主催者のひとりである前出・ミサオさんは、この「オープンな雰囲気」をつくることにいちばん心を砕いたと明かす。

「デモでよくある団体旗を出したり、ビラを撒いたりすると一般の人ははいりづらい。震災以降は、これまで関心がなかった人たちが、“原発はいらない”と思うようになった。潜在する人たちをすくい出さなければ大きな抗議行動につながらないし、そういう人たちがはいりやすいようにして、数で圧力をかけたいんです」(ミサオさん)

 通常のデモは平日や休日の日中に行われることが多いが、この官邸前デモでは多くが金曜夜6時にスタート。この時間に設定したのも、「会社帰りのアフターファイブに参加しやすいため」(ミサオさん)だという。

※女性セブン2012年8月16日号

関連キーワード

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン