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甲子園に母校が出場した際の美しい大人の振る舞い方について

 8月8日から「夏の甲子園」が開幕する。興味がある人は熱狂し、ない人は全くない高校野球ネタで、いかに母校の出場を自慢するか。母校初出場にテンション上がりまくりの大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が「母校自慢の大人としての美しい振る舞い方」を考える。

 * * *
 今年も夏の甲子園の季節がやってきました。正式名称「第94回全国高等学校野球選手権大会」の開会式は8月8日午前9時、組み合わせ抽選会は5日に行なわれます。個人的な話でたいへん恐縮ですが、なんとなんと母校の三重県立松阪高等学校の野球部が、まさかまさかの初出場を決めてくれました。30数年まえに応援団の一員として、真夏に学ランに身を包んで地方大会の内野席で声をからした身としては、とても平静ではいられません。

 めったにない嬉しい出来事をさらに堪能するために、同様の幸運な境遇にある方のために、母校が甲子園に出場した場合の大人の振る舞い方を考えてみましょう。明らかに浮かれていますが、嬉しすぎるが故の暴走ということでご容赦ください。

 一般的に大人にとって自慢はタブーです。しかし、母校が春夏を通じて甲子園初出場という場合は、会う人ごとに話の流れを無視して「いやあ、ウチの高校が甲子園に出るんですよ」と自慢してもかまいません。殺伐としたニュースが多い昨今、母校の甲子園初出場を無邪気に喜ぶ様子を見せて、周囲に「嬉しそうだな」と苦笑まじりで温かい気持ちになってもらうのは、僥倖に恵まれたものとしての大切な役割と言っていいでしょう。

 ただ、甲子園の常連校の場合は、自分から「また出るんですよ」進んで話題にするのは危険。「それがどうした」と反発されかねません。「また出るんですよね」と話を振られたら、ややハニカミながら「そうなんですよ。よかったら応援してやってください」と明るく返しましょう。「ええ、まあ」とそっけない態度を取るのも、それはそれでイヤミです。

 言うまでもなく、世の中のすべての人が甲子園に興味があるわけではないし、母校が甲子園に出る嬉しさに理解を示してくれるわけではありません。「じつは出るんですよ!」と熱っぽく話しても、あっさり「そうなんですか」のひと言で流したり、わざわざドヤ顔で「高校野球って興味ないんですよ」なんて言うことで「インテリでオシャレな自分」をアピールしたがるチンケな了見の輩も少なからずいます。

 まったくやれやれですが、こんなときこそ大人力の見せどころ。ひと言で流された場合は、そこで意気消沈せず、一段と熱っぽく「いやもう、盛り上がっちゃって盛り上がっちゃって。こんなに嬉しいとは思いませんでした!」とたたみかけて、気まずい空気を作らないように配慮した上で、あっさり流したことを少し後悔させてやりましょう。インテリオシャレ気取りの奴らにも、ムッとした素振りなんておくびにも出さずに、平然と同じセリフをぶつけてやるのが大人の気概。こっそり心の中で「お前らなんかにわかってもらわなくてけっこう」とタンカを切った気になることで、母校愛がさらにふくらみます。

 甲子園に出場する球児のみなさん、ぜひ悔いのない戦いをしてください。我々OBやOGも、大人としての戦いに全力で挑み続けます。いっしょにがんばりましょう!

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