西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、犬を安全に車に乗せる方法について解説する。
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よく助手席に犬をちょんと乗っけて運転している人がいるけれど、急ブレーキを踏めばどうなるのか? 犬は大けが間違いなし。
犬が窓から身を乗り出して走っている車も目にする。人間の自らの幼子だと想像してみてくださいな。なんと恐ろしいことか。家族がしっかり抱いていれば大丈夫。なんてのも大間違い。
シートベルトをした人間が、助手席でスイカをしっかり抱えて急ブレーキを踏む、っていう実験見たことありません? スイカは抱いている手を離れ、無惨にも粉々。犬も、このスイカと同じってこと。
じゃー、車に犬を乗せる時には、どうすればいいのか。犬を我が子のようだとお考えなら、ちょっと想像すればいい。
幼児にシートベルトは装着できない。ではどうしているか? そう、チャイルドシートに幼児を乗せ、そのチャイルドシートにシートベルトをかけている。犬の場合は、クレート(小型犬ならプラスチック製のキャリーバッグ)に入れて、クレート全体をシートベルトで固定すればいい。
え、シートベルトをどうクレートにかけたら良いのかって? ソレはですね、斜めにかけたり、持ち手にひっかけたり……えーい、よくわからないのであれば、シートベルトをかけるためのフックがついているクレートがありますから、それを入手してくださいな。
ウチは大型犬なんだけど、どうしたらいいかって? まずクレートを車のラゲッジスペースにロープなどで固定。そこに犬を入れる。これ以外の方法では、事故の際、犬への深刻なダメージは避けられない。そうした報告が、過去にヨーロッパではなされている。
なに? 車がステーションワゴンじゃないって? だったら車の買い換えを検討することですな。犬を我が子同然とお考えなら、それぐらいのことはしないとね。
※週刊ポスト2012年8月10日号